平曲会 11/8
昨日は,川瀬さん宅での平曲会だった。
「願書」(巻7-5)・「倶利伽羅落」(巻7-6)」だったが,
前者には義仲は登場せず,後者の「牛の角にたいまつ」というエピソードは
どうも中国の故事の利用のようで,文学と歴史について考えさせられるものだった。
よく知られているエピソードは,かなり事実と違い「盛ってある」ことが多く,
史実と考えてはいけないのだ。
特に平家物語は「語られてきた物語」なので,ウケるところは取り入れられ,
そうでないところは省略されたり,日時が入れ替わったりしているのだろう。
それを頭に入れたうえで,平家物語を楽しめば問題ないのだが・・・。
コロナ禍は,平曲会にも大きな影響を与えている。
私は「正しく恐れ,恐れ過ぎない」という方針を堅持したい。
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肥沼さんへ
昨日はお忙しいなか、ご参会ありがとうございます。
昨日は時間があったので、「平家物語」の嘘など、史書や物語の嘘が歴史にいかに大きな影響を与えたかについてお話ししました。
「願書」について「義仲は登場せず」と記述すると誤りです。
正しくは義仲の行動の記述なのだが、主役として遇されているは彼の手書き(祐筆=書記)の覚明だということです。
また「願書」がどんな嘘をついたかでいえば、「義仲の策略にはまった平氏が砺波山を下りて平野に軍勢を展開できずに山中に陣をしいた」というところが嘘だということ。
前哨戦の越中支配権をめぐる般若野の戦いで源氏方が圧勝して平野部を制圧したから、平氏方は平野に軍勢を展開できず山中に陣をしいたということ。
「願書」の記述だと平氏が馬鹿みたいです。
しかし対陣するときに、山中に陣を敷くのと山すその平野に陣を敷くのとでは、実は山中に陣を敷いた方が有利なわけです。両陣の距離はわずかに300m。十分に矢が届きます。
このとき高いところに陣を敷いた平氏の方が圧倒的に有利です。しかも軍勢は平家物語によると(これは誇張された数字であるが)、源氏方が4万にたいして平氏方が7万ですから倍にちかい。
倍に近い軍勢で山上から多量の矢を射かけながら突進されると、どう見ても源氏方が不利。
何しろ源氏方は4万の軍勢を4手にわけている。
街道沿いの正面の義仲軍はわずか1万。
山の北を密かに進んで峠の西側から平氏軍を挟み撃ちにするように進んだ搦め手軍も1万。
山の南の裾に展開した軍が約1万と、平氏軍が山上から突進した時にそなえた伏兵が1万。
だから平氏軍の正面に展開した源氏軍は1万で、平氏軍の後ろから攻めた軍が1万ですから、平氏軍が落ち着いて7万の軍勢を正面か搦め手に一点集中すれば勝てるわけです。
正面突破をした場合には必ず伏兵があることに気を付けて進めばよい。
また勝ち目がないと判断した引き返すときも、搦め手勢はわずか1万ですから突破は可能。
どう考えても平氏方が有利なのです。
これを源氏方が有利なように描いたところにも「平家物語」の嘘があります。
昼間に戦いをすると不利だから、だから夜襲なのです。
不意打ちをすれば平氏方が混乱する。
そう考えて大手搦め手から双方合わせて2万の軍勢が夜襲をかけた。
その際に源氏方を大勢に見せかけるために、南方の軍も伏兵の軍も一度にどっと鬨の声を上げた。
不意打ちをくらった平氏方は、取り囲まれていると誤認し、落ち着いて正面でも搦め手でも全軍を上げて突破すれば良いものを、敵が攻めてきていない西南の谷に向けて慌てふためいて逃げてしまい、おそらく坂道だろうから転んだりして落ち重なって大勢の死傷者を出したのでしょう。
大将軍2人を始めかなりの軍が加賀に逃げられたということだから、大将軍たちは落ち着いて搦め手軍を突破して逃げたのではないでしょうか。
平氏軍が戦に不慣れで弱いという表現の仕方も「平家物語」の嘘です。
源平の合戦の重要どころでは源氏勢はいつも夜襲です。
平氏は兵法どおりに昼間に正面戦をやろうとして、いつも源氏勢の夜襲に負けている。
ここらあたりは戦観の違いがあるのかもしれません。
都の武士と地方の武士の違いかもね。
つまりいつも領土争いで戦闘に長けている地方の武士は兵法など無視して勝てればよいという戦いをするが、めったに戦いをしない都の武士は、兵法通りの正々堂々の戦いをするというように。
投稿: 川瀬健一 | 2020年11月 9日 (月) 17:11
川瀬さんへ
コメントありがとうございます。
〉 平氏軍が戦に不慣れで弱いという表現の仕方も「平家物語」の嘘です。
源平の合戦の重要どころでは源氏勢はいつも夜襲です。
平氏は兵法どおりに昼間に正面戦をやろうとして、いつも源氏勢の夜襲に負けている。
ここらあたりは戦観の違いがあるのかもしれません。
都の武士と地方の武士の違いかもね。
つまりいつも領土争いで戦闘に長けている地方の武士は兵法など無視して勝てればよいという戦いをするが、めったに戦いをしない都の武士は、兵法通りの正々堂々の戦いをするというように。
なるほど。そういえば,そうですね。
投稿: 肥さん | 2020年11月 9日 (月) 22:25