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2019年12月 3日 (火)

『日本書紀』に「鼠」は何回登場するか?

昨日「東京古田会ニュース」が届き,興味を持ったのは橘高さんの「八面大王論」だった。

古田さんの論の「援護射撃」をしようと,「鼠」というキーワードを用いていた。

(「東京古田会ニュース」の橘高さん「鼠についての考察」2013年9月号(152号)より)

つまり「大和朝廷は九州王朝を「鼠」と揶揄していた」というのだ。

本当のような気もするが,何か私にできることはないか?

ということで,『日本書紀』の全文検索をしてみようと思いついた。さあ,その結果はいかに?

(もちろん,橘高さんの「鼠についての考察」ですでにこの方法は使われているとは思いますが・・・)

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日本書紀 巻第七 景行天皇~成務天皇
奉迎之諮言「茲山有大石窟、曰石窟、有二土蜘蛛、住其石窟。一曰靑、二曰白。又於直入縣禰疑野、有三土蜘蛛、一曰打猨、二曰八田、三曰國摩侶。是五人、並其爲人强力、亦衆類多之、皆曰『不從皇命。』若强喚者、興兵距焉。」天皇惡之、不得進行、....→ このページで合計1件ヒット

日本書紀 巻第二十四 皇極天皇紀
。入鹿具說所由。古人皇子曰、伏穴而生。失穴而死。入鹿由是止行。遣軍將等、求於膽駒。竟不能覓。於是、山背大兄王等、自山還、入斑鳩寺。軍將等卽以兵圍寺。於是、山背大兄王、使三輪文屋君謂軍將等曰、吾起兵伐入鹿者、其勝定之。然由一身之故....→ このページで合計1件ヒット

日本書紀 巻第二十五 孝徳天皇紀
。老人等相謂之曰。自春至夏、向難波、遷都之兆也。戊午、越國言。海畔、枯査向東移去、沙上有跡如耕田狀。是年也、太歲乙巳。二年春正月甲子朔、賀正禮畢、卽宣改新之詔曰。其一曰、罷昔在天皇等所立子代之民・處々屯倉・及別臣連伴造國造村首所....→ このページで合計5件ヒット

日本書紀 巻第二十七 天智天皇紀
堺・新羅不獲輸其西壘。夏四月産於馬尾、釋道顯占曰、北國之人將附南國、蓋高麗破而屬日本乎。五月、大將軍大錦中阿曇比邏夫連等率船師一百七十艘、送豐璋等於百濟國。宣勅、以豐璋等使繼其位、又予金策於福信而撫其背、褒賜爵祿。于時、豐璋等與....→ このページで合計2件ヒット

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4ページに9件というのは,なかなかいい個数かもしれません。

数件しかないと統計になりませんし,逆に何百件もあるとやる気がおきませんから。

さらに,複数出てきている孝徳紀と天智紀で「鼠」探しをしてみます。

両方とも長くて骨が折れそうですが・・・。

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【孝徳紀】

(1)冬十二月乙未朔癸卯、天皇遷都難波長柄豐碕。老人等相謂之曰。自春至夏、向難波、遷都之兆也。戊午、越國言。海畔、枯査向東移去、沙上有跡如耕田狀。是年也、太歲乙巳。

(2)九月、遣小德高向博士黑麻呂於新羅而使貢質。遂罷任那之調黑麻呂、更名玄理。是月、天皇、御蝦蟇行宮或本云、離宮。是歲、越國之、晝夜相連、向東移去。

(3)新羅、遣上臣大阿飡金春秋等、送博士小德高向黑麻呂・小山中中臣連押熊、來獻孔雀一隻・鸚鵡一隻。仍以春秋爲質。春秋美姿顏善談笑。造渟足柵、置柵戸。老人等相謂之曰、數年向東行、此造柵之兆乎。

(4)五年春正月戊申朔夜、向倭都而遷。

(5)十二月壬寅朔己酉、葬于大坂磯長陵。是日、皇太子奉皇祖母尊遷居倭河邊行宮。老者語之曰、向倭都、遷都之兆也。是歲、高麗・百濟・新羅並遣使奉弔。

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ものすごく大変に思ったが,「鼠」は後半に集中していたので,作業は思ったほど大変ではなかった。

続いて,天智紀である。これは2件。かえって時間がかかるかも。

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【天智紀】

(1)元年春正月辛卯朔丁巳、賜百濟佐平鬼室福信矢十萬隻・絲五百斤・綿一千斤・布一千端・韋一千張・稻種三千斛。三月庚寅朔癸巳、賜百濟王布三百端。是月、唐人・新羅人伐高麗、高麗乞救國家、仍遣軍將據䟽留城。由是、唐人不得略其南堺・新羅不獲輸其西壘。夏四月産於馬尾、釋道顯占曰、北國之人將附南國、蓋高麗破而屬日本乎。

(2)五年春正月戊辰朔戊寅、高麗遣前部能婁等進調。是日、耽羅遣王子姑如等貢獻。三月、皇太子親往於佐伯子麻呂連家、問其所患、慨歎元從之功。夏六月乙未朔戊戌、高麗前部能婁等罷歸。秋七月、大水。是秋、復租調。冬十月甲午朔己未、高麗遣臣乙相奄𨛃等進調。大使臣乙相奄𨛃・副使達相遁・二位玄武若光等。是冬、京都之、向近江移。以百濟男女二千餘人、居于東國。凡不擇緇素、起癸亥年至于三歲、並賜官食。倭漢沙門智由、獻指南車。

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※1 鼠が向かう先に何があるか。倭都2件,難波1件,東が2件,近江1件となり,やはり九州王朝のことを指している気がする。

※2 揶揄で思い出したが,古事記に揶揄的な場面がある。「九州王朝の豪族たちは臆病者だ」みたいな表現があり,紀では削除された。

※3 鼠と安曇はよく似た音だ。ウィキペディアには,「安曇は海人津見(あまつみ)が転訛したものとされ[要出典]

津見(つみ)は「住み」を意味する古語とする説もあり[要出典]その説だと安曇族はそのまま「海に住む人」を示す

「要出典」ばかりだが。

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コメント

肥沼さんへ

 橘高さんはどんな根拠で「大和朝廷は九州王朝を「鼠」と揶揄していた」と結論したのでしょうか。
 肥沼さんが示した書紀の記述だけでは、そう言い切れません。

 私には根拠のない妄説にしか見えません。

川瀬さんへ
コメントありがとうございます。

アドレスが書いてありましたので,「鼠についての考察」にあたってみたいと思います。
⇒ なんかうまくたどり着くことができません。

肥沼さんへ

 「東京古田会ニュース」は創刊号から最初の10号しか公開されていません。だから2013年9月号(152号)掲載の橘高さんの論文をネットで検索しても出てこないと思いますよ。
 会員の肥沼さんが会報を保存していないことがいけないのです。
 興味を持たれたのなら東京古田会に連絡してコピーをもらったらどうでしょうか。
 コピーがあれば私も読んでみたいですが。

 「八面大王」伝説を最初に記録したものは『仁科濫觴記』という「古記録」らしいですね。でも著者も成立年も明らかではなく、依拠した史料がなんであるかもわからない代物。
 伝説は真実の歴史を伝承している可能性もありますが、それを証明することは難しく、徒に伝説に依拠して歴史を論じてみたところで意味はないと私は思います。
 ネットで調べてみると「八面大王」を九州王朝論とつなげる論拠を、この「人名」を「やめだいおう」と読んで、九州筑後の八女を拠点とした筑紫君磐井と結びつけるところからのようですね。
 そして「八面大王」を記録した文書『信府統記』(松本藩によって享保年間に記された地誌)には、「八面大王」を名乗る盗賊の話があり、その盗賊を「鼠」「鼠族」と呼んでいるようです。

 ざっとネットで検索しただけでも「八面大王」論を九州王朝論で論じるのは無理だと思いますが、そうした論を精査してみるのも面白いとは思います。

 肥沼さんが書紀の鼠記事を抜き出してみたことでわかることは、鼠は不思議なことを人間に知らせる、いわば神の使いとして記されていることだけです。孝徳紀や天智紀の記述に出てくる「鼠」が九州王朝を指しているなど、到底言えません。

川瀬さんへ
コメントありがとうございます。

〉  肥沼さんが書紀の鼠記事を抜き出してみたことでわかることは、鼠は不思議なことを人間に知らせる、いわば神の使いとして記されていることだけです。孝徳紀や天智紀の記述に出てくる「鼠」が九州王朝を指しているなど、到底言えません。

『日本書紀』を作った人たちから言えば,鼠(神の使い)というものを使って,
神に導かれるようにして都や屋敷を移動させたという暗示かと思いました。
だから,神の導きには逆らえない,と。

こんにちは。
「土蜘蛛」と同様に、ある人的集団を「鼠」に喩えたと解釈することは可能だと考えます。九州王朝とするのは漠然としすぎているので、もう少し具体的に絞り込む必要があるのではないでしょうか。信濃国の「蠅」についても比喩的表現なのではないかと見ています。
ちなみに高知県には八面神社が複数存在するのですが、他県にもあるものなのでしょうか。

侏儒国民さんへ
コメントありがとうございます。

〉 ちなみに高知県には八面神社が複数存在するのですが、他県にもあるものなのでしょうか。

そうなんですか。
と言って,検索してみたら,ほかの県にもあるようですね。
つながりがあるのでしょうか。

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