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2018年9月16日 (日)

エミシのイメージ(川瀬さん)

川瀬さんが,コメントで「エミシのイメージ」について
長文を寄せて下さっています。
私だけで独占しては申し訳ないので,
転載させていただきます。

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(川瀬さん)

 「蝦夷」という字面で、「こいつらは従わない野蛮人だぞ」といっているわけで、本来は音の「エミシ」ですね。
 東北が金の大産地だという話は、大仏建立の所で、金メッキのための金が見つかったという記事しか史書にもありませんね。
 いつでしたかNHKのブラタモリで平泉をやったとき、平泉東方の山地は金の大産地だということを地質を使って説明していました。
 またここが鉄の大産地だということも、砂鉄が同時に大量に川床にあるという話でやっていましたね。
 ここは古代から「餅鉄」という、天然の鉄の塊が取れるところ。
 川床や沼の底に大量の砂鉄が眠っていて水にそして泥に大量の鉄分が含まれていると、植物がそれを水とともに摂取して、長い時間をかけて植物の胎内を通じて排出され植物の根元にほぼ純粋な鉄の塊ができる。
 これだと砂鉄や鉄鉱石のように精製が必要ではないので、すぐに鉄製品に加工できる。僕の「徹底検証新しい歴史教科書」古代編の聖武朝と桓武朝の蝦夷征討記事の中に餅鉄の写真とともに書いておきました。

 そして九州王朝や近畿天皇家にとって蝦夷の東北がとても重要になったのは、朝鮮半島の領土を失ったからです。
 朝鮮半島の南部、特に古に弁韓と呼ばれた地域(その後は加羅諸国とよばれました)は史書にも書かれるほど著名な鉄の産地。倭国がこの地域を領土としたのも鉄が目的ですし、高句麗と、そして新羅や百済とここを取り合ったのも鉄が原因。
 だから新羅に加羅を併合されて何度も戦い、さらに朝鮮における同盟国百済を唐・新羅に攻め滅ぼされて百済再建の戦いに乗り出したのも、鉄が目的。
 結局長い時間かけて取り戻そうとしたが失った。
 となると日本列島内の最大の鉄産地である蝦夷の領域は、喉から手が出るほど欲しい。
 ということで本来は友好国であった蝦夷の国を支配しようともくろんだのです。
 あと鉄とともに、馬・鷹の羽・ラッコの毛皮は、全部軍事物資ですね。戦に不可欠な道具。
 蝦夷の地域では弥生時代の初めから稲作も行われており、鉄製品も自給できて金も産出し、これらの産物を使ってさらに北方の今の北海道やさらに東の千島列島からアリューシャン列島、そしてオホーツク沿岸の民と交易して、鷹の羽やラッコの毛皮など、この地域の特産を手に入れて、それと日本列島内の国々と交易して栄えていた国です。しかもご存知かと思いますが、九州王朝や近畿天皇家の軍隊は歩兵+重装騎兵でした。分厚い鉄の鎧で兵士は身を固め、馬まで鉄の鎧をまとっている。とても動きの遅い軍隊。
 しかし蝦夷の軍隊は軽装騎兵。馬は乗馬のための器具を付けただけの裸馬。兵士は皮の鎧。しかも武器の弓は短弓で至近距離から鉄の鎧すら射抜くほどの強弓。さらに刀は直刀ではなく柄のところから曲がった湾曲刀。このため蝦夷の軽装騎兵に急襲されると九州や近畿の軍隊は動きが取れず囲まれて壊滅する。
 このありさまは続日本紀に詳しいですね。
 この蝦夷の軽装騎兵に対抗して勝てるように、鎧と刀を工夫して現れたのが武士。
 彼らの馬は乗馬のための器具とつけただけの裸馬。そして鎧は鉄の短冊を皮で編んだそれまでより動きやすい軽い鎧。そして刀も直刀から柄から湾曲した馬上から振り下ろすに便利な日本刀。
 この皮鎧と湾曲した日本刀を開発させられたのが、すでに朝廷に服属していた関東の蝦夷です。
 だから武士団の発生は関東から。

 そうそう。この蝦夷を統括した首長たちこそが、「東日流三郡誌」に描かれた、「邪馬台」から天孫族に追われてきた「ナガスネヒコ」「アビヒコ」らの子孫ですね。この流れをくんだ蝦夷首長が前九年の役のときの安倍氏。安倍氏の娘を母にし藤原氏の流れの軍人を父としたのが清原清衡。彼は太平洋側の蝦夷の首長安倍氏と日本海側の蝦夷の首長清原氏の勢力をわがものとして、平泉藤原王朝をつくった。
 この三代のミイラと四代の泰衡の首が金色堂に残されていてその人類学的形質検査と遺伝子検査をしたら、もっとも近いのが現代の京都人と古代の弥生人だった。少なくとも蝦夷の首長はこういう人たちであったのですね。
 蝦夷のイメージが変わったでしょ。

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