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2018年6月 9日 (土)

金象嵌稲荷山古墳出土鉄剣の蛍光X線分析

今から40年ほど前に埼玉県行田市の稲荷山古墳で
金象嵌の鉄剣が発見されたことは大変古代史研究を進めるはずのできごとだった。
残念ながらこの発見は一元史観を強化する方向での解釈が多いようだが,
そこに古田武彦氏の『関東に大王あり』が登場して,
「地元のカタシロ大王」という画期的な解釈を示すことになった。

ウィキペディア「稲荷山古墳出土鉄剣」

https://ja.wikipedia.org/wiki/稲荷山古墳出土鉄剣

ところで,ウィキペディアを読んでいたら,下の方にその後の研究として,
以下のようなものが出ていた。
さらに「材質調査」が行われていたのである。(★は私が付けた。そこが材質の変化する場所である)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(表)
辛亥年七月中記乎獲居臣上祖名意富比垝其児多加利足尼其児名弖已加利獲居★其児名多加披次獲居其児名多沙鬼獲居其児名半弖比
(裏)
其児名加差披余其児名乎獲居臣世々為杖刀人首奉事来至今獲加多支鹵大王寺在斯鬼宮時吾左治天下令作★此百練利刀記吾奉事根原也

2000年と翌2001年にかけて行われた、金象嵌の材質調査(蛍光X線分析)によって、象嵌に使われている金には、銀の含有量が少ないもの(10%ほど)と多いもの(30%ほど)の2種類あることが判明した。その2種類の金は、表は35字目、裏は47字目から下の柄側には銀の含有量が少ないもの、切先側には銀の含有量が多いものが使われている。2種類の純度の違う(結果として輝きの異なる)金を鉄剣銘文の上下で使い分けた理由は不明である。[7]

早川泰弘・三浦定俊「埼玉稲荷山古墳出土金錯銘鉄剣の金象嵌銘文の蛍光X線分析」 『保存科学』第42号、2003年

http://www.tobunken.go.jp/~ccr/pdf/42/pdf/04201.pdf

変化のグラフが見事でした。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「2種類の純度の違う(結果として輝きの異なる)金を鉄剣銘文の上下で使い分けた理由は不明である」とのことであるが,
意味としては,ちゃんとしたところで切れてはいる。
「手元のところに手厚く金の含有量の多いものを使った」という感じかなあ。

銀を10%入れたものと30%入れたものではどれくらい輝きが違うのかをちょっと調べてみた。

金の純度に関する基礎知識

https://nanboya.com/gold-kaitori/post/金の純度に関する基礎知識/

大雑把なところでいうと,金90ー銀10は「22金」に,金70ー銀30は「18金」に近いものだ。
私も18金の万年筆を使ったことはあったが,
「ちょっと見ただけでは素人にはあまりわからない違い」のように思うが,いかがだろうか。
どなたか専門の方はいらっしゃいませんか?
「いやー,全然違いますよ」とか・・・。

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古田史学」カテゴリの記事

コメント

朝日か毎日か埼玉新聞かのグラフ特集号を古本屋で見つけたので
買い求めたのを思い出しました。どこにいったかなあ。
書写の練習にもなるかとも思ったものです。

スマホでまとめ読みさせてもらいました。

翔空さんへ
コメントありがとうございます。

当時はずいぶん話題になったですからね。
ただし,「大和朝廷が関東まで勢力を持っていた」というのが
ほとんどの報道の内容でした。

肥さんへ
要望コメントです。

なんぼやさんが
>金の価値は「純度」で決まります。
と言っているのは間違いです。

金の価値は市場で決まります。
これも現在では工業用(ICの製造に、電子部品の基盤用、接点用など)の需要が大きい。
紙幣(貨幣)価値の尺度としての機能は落ちてきている。
ただ、恐慌などになれは価値尺度として復活するとは思うが。

なんぼやさんは「金製品(アクセサリー)の買取価格は金の純度で変わります」
と言うべきです。
この言い方も正確には「金地金として値踏みしている」だけで、
金製品だって芸術的価値などがあれば金地金の価値を超える場合があります。
(例えば古墳から出土した金の王冠など)
素人にアクセサリーの金の含有率など調べられるわけはないのです。

このなんぼやさんの記事は、
金のアクセサリーには24段階の金合金がある
ということがわかるだけで、宣伝用に無理やり作ったものです。

できることなら金象嵌鉄剣記事の水準に合わせたものを載せて欲しかった(これが要望)。

山田さんへ
コメントありがとうございます。

〉 できることなら金象嵌鉄剣記事の水準に合わせたものを載せて欲しかった(これが要望)。

ぜひそういうものをご存じでしたら,私も付け加えたい(差し替えたい)と思います。
よろしくご教示下さい。

肥沼さん

とても面白い情報ですね。わたしは知りませんでした。
なぜ二種類の金を使い分けたのか、興味がつきません。
このブログの内容を「古田史学会報」に投稿していただけませんか。
多くの会員に一緒に考えてもらえば、良い仮説が出てきそうな気がします。

古賀達也

古賀さんへ
コメントありがとうございます。

皆さんが関心を持っていただければ,
何かアイデアがわいてくるかもしれませんね。
今まではただ「金象嵌」だけでしたから。

肥さんへ
17:40頃閲覧したら私に振られていた。
そこで検索したらWikipediaが詳しかった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/金

そこまで読者が期待しているかどうかわかりませんが、
取り敢えずWikipediaは見た方が良いとおもいます(理系については良い)。

あと、剣先が10%だとすれば、
柔らかで傷つきやすい金の性質を考慮していたということもあるのではないでしょうか。
光沢が10%と30%で著しく変わるとは素人の私にはちょっと考えにくかったです。

誤解を避けるための追加コメントです。

この象嵌鉄剣を実用品と見て述べたのではありません。
実用品でなくてもそのような考慮をしたのではないかということです。

山田さんへ
コメントありがとうございます。

〉 17:40頃閲覧したら私に振られていた。
そこで検索したらWikipediaが詳しかった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/金

とりあえず,すぐ行けるように,
ウィキペディア「金」をリンクしてみました。

ウィキペディア「金」

https://ja.wikipedia.org/wiki/金

確か
ワカタケルは雄略天皇?とか話題になりましたね。
探して記事をじっくりよんでみたいものです。
「関東に大王あり」?もあるはずです。

翔空さんへ
コメントありがとうございます。

『関東に大王あり』もお持ちでしたか!
ぜひ読み直してみて下さい。
いったい翔空さんは何冊くらい古田本をお持ちですかね?

いろいろ金について調べてみましたが、銀10%と銀30%の違いは色目ではなくて硬さなのではないでしょうか。もともと天然の金は20%ほど銀を含んでいるといい、この銀の割合を高めると色は次第に銀色を帯びていくと言います。でもそれは銀が50%を過ぎるあたりから。
 だから違いは色目ではなくて硬さではないでしょうか。銀が多いほど硬くなる。
 つまり剣先のほうは銀が多くて硬い金糸を埋め込み、柄に近い方は、銀の少ない柔らかいものを使った。
 この理由は何でしょうね。剣先の方がぶつかってこすれる度合いが高いからでしょうか?
 確かめたいことがありますね。文字数だと銀の含有量が少ない文字は、表が23字で裏が12文字なのですが、実はこの銀の含有量の少ない文字の始まりの位置は、柄からの距離が裏と表で同じなのではないか。
 ここが確かめられれば、金文字の傷つき度合いを考えたと解釈できますね(ここは山田さんと同意見です)。

 象嵌された文字の意味合いで銀の含有量を変えたようには思えません。

川瀬さんへ
コメントありがとうございます。

文字だけで議論していても読者にはわかりませんので,別項にして図を入れてみました。
「百聞は一見に如かず」というやつです。

追伸
 蛍光エックス線分析の報告書を精査しましたら、裏と表の金銀含有量の違う金糸の使用位置が明確に違うことが指摘きされていました。
 となると金の硬さを考慮して(つまり傷つきやすいことを考慮して)硬さの違う金糸をつかったという仮説はなりたちませんね。
 文の意味から裏面は「此百練利刀記吾奉事根原也」を強調したいのかとも考えられますが、表面では先祖の一部だけの名前だけを「強調」するとは理解できないので、合理的な解釈ができませんね。
 金の色目は、報告書では「明確に違う」と書かれていますが、素人目にはどうでしょうか。金の含有量の高いほうが黄金色で、銀の含有量が高い方が少し白銀がかっているとありますが。
 報告書では鉄剣の本来の色は「白銀」だから「黄金色」に輝く部分を強調したのかもと書かれていますが、そうだとすると裏面と表面の黄金色の部分の文面が強調されたということになるが、先に見たように文意からはそう判断できない。
 だからこそ報告書では理由がわからないとなったことが理解できました。
 
 残された可能性は?
 金糸って純金を伸ばしてつくるのですよね。もしかしたら元になった純金の金の含有量が異なったので、金象嵌をする際に使った金糸が部分部分で異なった。つまり偶然だという結論しかないように思えます。

 本当に不思議です。

川瀬さんへ
コメントありがとうございます。

まあ,今回は「結論は出ない」という「結論」になりそうですが,
これからの時代は「含有量の違いで結論が出ることもありうる」ということですね。
これに限らず,科学の進歩はできるだけ利用していきたいものです。

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