« 故事ことわざ辞典 | トップページ | ミニガリ本「肥さんのこの10年~50代の仕事④」 »

2017年3月28日 (火)

板倉さんの誤謬論

科学者の板倉聖宣さんは,いろいろな考え方も教えてくれる。
特にユニークなものの1つが,誤謬論(ごびゅうろん)である。

小原茂巳さん(明星大)は,その魅力と極意をさらにわかりやすく
説明してくれているので,その引用を掲載する。(『未来の先生たちへ』仮説社)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

★自分の頭で考えると間違える

 子どもたちは,自分自身の頭でものを考えるようになると,
しばしばとんでもなく間違ったことを考えます。間違えるのは,自分の頭を使うからです。
創造的に考えようとするとどうしても間違えるのです。
 しかし,自分の頭を使わないで他人の頭を使うーーつまり,覚えたことを
はきだすだけなら間違うことはほとんどなくすことができるでしょう。
 優等生というのはそのようにして間違いをおかさなくなった人たちのことをさすのです。
優等生というのは,間違わない代わりに自分で考えないわけですから,
必然的に創造力がないということになります。
 「優等生は創造力がない」というのは蓋然的に(そうであったり,そうでなかったりと)いえるのではなく,
必然的なものとしていえるのです。そういう優等生を作ってはいけないと私は思うのです。
板倉聖宣〔1972年の講演記録〕「仮説実験授業への招待ーー仮説実験授業入門講座開講の弁」
『仮説実験授業の研究論と組織論』仮説社,1988年

★ばかだから間違えたのではない

 昔の人が考えたのは,そしてみんなが考えたのは,間違えたのは,
あたりまえなんだ。なにもそれらの人達がばかであったからではない。
間違いにおちいる根拠がなかったら,間違いなんかにおちいらないんだ。
一生懸命間違いにおちいるばかはいないのだ。間違いにおちいるのは,
その間違いにおちいる理由があって間違いにおちいるのだから,
その間違いにおちいる理由をはっきりさせなければいけないのだ。
(板倉聖宣〔1964年の講演記録〕「主体的人間の形成と仮説実験授業」
『仮説実験授業の誕生』仮説社,1989年)

★一面的な合理性が誤謬に導く
 
 我々が誤謬におちいるのは,それが一面もっともらしさをもっている
ということによってのみなのである。
 誤謬(まちがった考え)がその一面にもっともらしさ,合理性をもっているということを認めるならば,
我々が誤謬を克服するためには,「誤謬はバカげたものーーついうっかりまちがえた,
知識の不足から生じたものーーにすぎない」という常識的な見方を変えなくてはならない。
そして,一面的なもっともらしさ,合理性というものがどんなものであるか,それが如何にして
誤謬を導くのかということーー従って,どういう点に注意しなければならないかということを
明らかにしなけれならない」板倉聖宣「誤謬論」『科学と方法』季節社,1969年
 
★アタマがいいから間違える

 普通よく,「頭のいい人は間違えないものだ」と考えられています。しかし,それは
記憶した知識を吐き出したり,すでに経験していることを繰り返してやる場合に限ります。
いくら頭のいい人でも,未知の問題に出会った時には,間違えたって当たり前です。
 問題によっては,「考え過ぎて間違える」ということだってあるのです。
「頭がいいから間違える」ということを知ったら,失敗はそれほど恐れなくていいようになるでしょう。
それは「負け惜しみ」とは限らないのです。
〔板倉聖宣「アタマがいいから間違える」『発想法かるた』仮説社,1992年〕


« 故事ことわざ辞典 | トップページ | ミニガリ本「肥さんのこの10年~50代の仕事④」 »

仮説実験授業」カテゴリの記事

コメント

肥さんへ

板倉聖宣さん、すごいですね!
「深く考える」とはこういうことを言うのですね。

山田さんへ
コメントありがとうございます。

仮説実験授業研究会では,板倉さんの誤謬論は有名で,
多くの人が引用しています。
ただし,私が引用したのは今回が初めてです。
仮説実験授業自体が「人はどのようにして間違えるのか」という研究を
もとにして作られた授業ですから,「間違え」はとても大切なのです。

肥さんへ

〉仮説実験授業研究会では,板倉さんの誤謬論は有名で,
多くの人が引用しています。
ただし,私が引用したのは今回が初めてです。

肥さんの「初めての板倉さんの誤謬論の引用」だとのこと。
私がそのきっかけ(間違い)の栄誉に浴することができたのですね。
とてもうれしいです。

山田さんへ
コメントありがとうございます。

誤解のないように付け加えておきますが,
この引用は,山田さんのチャレンジに敬意を表してのもので,
決してそれ以外のものではありませんので。

肥さん

むろんです。
初めての引用とのことなので、そのきっかけをつくれたことをよろこんでいるのです。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« 故事ことわざ辞典 | トップページ | ミニガリ本「肥さんのこの10年~50代の仕事④」 »

2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

最近のトラックバック

無料ブログはココログ