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2016年12月29日 (木)

聞きなれない単位!?「秤」「木凡」の謎

以前,今村啓爾著『富本銭と謎の銀銭 貨幣誕生の真相』(小学館)を
「夢ブログ」で紹介したことがあるが,
その本を原本にして,さらに「改題」「追加新章」を加えたものが
『日本の古代貨幣の創出~無文銀銭・富本銭・和同銭』である。
講談社学術文庫に昨年入ったものを,
今日神保町の書泉グランデで見つけた。

題名が違うので,最初のうち別な人の本かと思っていたが,
今村さんの本だとわかり,「追加新章」に惹かれて購入した。

実は,前著発行の数か月後藤原京址で「門傍」木簡が出土し,
「今村さんの仮説が正しかったことを証明した」ということで,
新たに章を設けて書かれているのだが,
私は別の角度からこの木簡の出土は
多元的古代研究上の意味があると思い取り上げてみる。

一枚の重さを「秤」という聞きなれない単位で表し,
枚数で数えるときには「木凡」というこれも聞きなれない単位が用いられていたこと

二〇〇二年の論文で論証した」(拙著「木簡に見る和銅年間以前の銀と銀銭の
計量・計数単位」『史学雑誌』一一一編八号)
・・・ところが大寶年間(七〇一~七〇四)になると中央官庁でも堂々と
銀銭が「文」という貨幣固有の単位で数えられていたことになる

これによると「文」以前に「秤」「木凡」という単位があったことになる。
そもそもこういうものは,勝手に個人が定めることなどできない代物(度量衡)であるから,
それは当然大和政権以前の公権力(私の考えでは九州王朝)が先在することになる。

今村さん自身は「聞きなれない」という言葉でぼかして?表現されているが,
これはまさしく前王朝の定めた単位なのではないだろうか。
それには「傍証」がある。

実はこの「門傍」木簡は,発掘された時,上下二つに割れていたというのだ。
これは太宰府付近で近年された最古の「評」戸籍と似た状態ということではないか。
(こちらも大和政権が定めた制度ではないと思われる)
つまりこの木簡は「割れた」のではなく,意図的に「割られた」ということだ。
もう時代は「大和政権が唯一の権力」となったため(大宝元年,元号創設),
前王朝の単位書かれている「門傍」木簡は
当然廃棄されなくてはならない運命だったと私は考えるからである。
(なぜより確実な「燃やす」という方法を取らなかったのかは不明)

無文銀銭については,
「新古代学の扉」に入っている
阿部周一さんの
「無文銀銭 その成立と変遷」

がとてもわかりやすくまとめられていると思う。

http://search.yahoo.co.jp/search?p=%E6%96%B0%E5%8F%A4%E4%BB%A3%E5%AD%A6%E3%81%AE%E6%89%89%E3%80%80%E7%84%A1%E6%96%87%E9%8A%80%E9%8A%AD&aq=-1&oq=&ei=UTF-8&fr=top_ga1_sa&x=wrt"

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古田史学」カテゴリの記事

コメント

ナイス!
早速「『日本の古代貨幣の創出~無文銀銭・富本銭・和同銭』を注文します。
紹介、ありがとう。

山田さんへ
コメントありがとうございます。

この「秤」「木凡」については反応がなくてがっかりしていました。
山田さんが記念すべき初コメントです。ナイス!

今日、納品されたとの通知があり、急いで出かけて受け取った。まず、「講談社学術文庫版あとがき」を読んだ。私は「あとがき」からよむ癖がある。
著者今村啓爾氏が不当に学説に「レッテル」を貼られて迷惑していることをが書かれていた。出世をした論敵によるものである。「レッテル」を貼って攻撃するのが一元史観の常套句手段である。同情をするとともに親近感をおぼえた。全文を読み終えたら感想文を改めてアップしたいと思う。

山田さんへ
コメントありがとうございます。

P79に掲載の無文銀銭の写真には,
私が「九州王朝の家紋」ではないかと思っている
12弁の菊家紋が出てきます。

また,これらの出土地である大阪市眞實院というのは,
古賀さんが九州王朝の副都=第一次難波京と考えている場所のようです。

山田さんの感想文が楽しみです!

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