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2015年12月 2日 (水)

「福澤心訓」を使った道徳授業

若い先生が,「福澤心訓」といわれるものを使って,道徳の授業を行なった。
周りの先生方も巻き込んでの1時間は,
なかなかよかったと学級通信で報告されていた。
(「世の中で一番○○な事は~~~です」というアンケートに,私も協力した)

それについて「夢ブログ」で書こうと思い,
その内容を検索したところ,
「福澤心訓」についての意外な話が出てきて,
興味は予想していなかった方向に向かった。
以下,それを報告しよう。

「福澤心訓」で検索すると,『ウィキペディア(Wikipedia)』にこう出ていた。

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「「福澤心訓」(ふくざわしんくん)は福澤諭吉が作成したとされる7則からなる教訓である。
実際は福澤の作ったものではなく、作者不明の偽作である。
「福沢心訓」、「福沢諭吉翁心訓」、「福沢心訓七則」、「諭吉心訓」、「心訓」、「七則」
などとも呼ばれる。

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心訓

一、世の中で一番楽しく立派な事は、一生涯を貫く仕事を持つという事です。
一、世の中で一番みじめな事は、人間として教養のない事です。
一、世の中で一番さびしい事は、する仕事のない事です。
一、世の中で一番みにくい事は、他人の生活をうらやむ事です。
一、世の中で一番尊い事は、人の為に奉仕して決して恩にきせない事です。
一、世の中で一番美しい事は、全ての物に愛情を持つ事です。
一、世の中で一番悲しい事は、うそをつく事です。

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「福澤心訓」は作者不明の偽作であるため、
いつ、誰が、何の目的で作成したのか不明である。

小説家の清水義範は、小説中の文学探偵の推理として、
福澤諭吉の「ひびのおしえ」にある「おさだめ」を参考にして
「福沢心訓」が作成されたではないかとしている。

それは、「おさだめ」の第1番「一、うそをつくべからず」が
「福沢心訓」の「一、世の中で一番悲しい事は、うそをつく事です」に類似し、
「おさだめ」の第7番「一、ひとのものをうらやむべからず」が「福沢心訓」の
「一、世の中で一番みにくい事は、他人の生活をうらやむ事です」に類似しているからである。

以下、参考のため、福沢(1980)収録の「ひゞのをしへ」から引用する。

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おさだめ

一、うそをつくべからず。
一、ものをひらふべからず。
一、父母(ちゝはゝ)にきかずしてものをもらふべからず。
一、ごうじやうをはるべからず。
一、兄弟けんくわかたくむよふ。
一、人のうはさかたく無用。
一、ひとのものをうらやむべからず。

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さらに、清水義範は、小説『福沢諭吉は謎だらけ。心訓小説』中の文学探偵に、
いつごろ、誰が、何を目的として、「福沢心訓」を作成したのか推理させている。

富田正文は『福澤諭吉全集』第20巻の附録に
以下のような「福澤心訓七則は僞作である」と題した短文を寄せている。

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福澤心訓七則は僞作である

 三、四年前からときどき「福澤諭吉心訓七則」というものに就いて、
あれは全集のどこに出ているかと尋ねられることがある。
初めは何のことかわからなかったが、まもなくその印刷物を見せられた。
 「一、世の中で一番樂しく立派なことは一生涯を貫く仕事をもつことである」
以下箇條書きにして七條ある。
初めは「福澤諭吉訓」といっていたが、だんだんに「福澤諭吉心訓七則」という
標題ができあがったようで、ちかごろは方々でその印刷物を見るようになった。

 書いてある七條はいずれも立派な訓えで誠に恥ずかしからぬ文言であるが、
文體は明らかに現代文で、福澤の明治時代の文章とはハッキリ違っている。
もちろん、福澤の書いたものではないし、
福澤の文章の中から拾い出したという形跡も見當らない。
誰かの創作であろうが、惜しいことにその作者は
自分の名の代りに福澤諭吉の名を借りて來たばかりに、
自分の創作した訓えの一つにそむく結果となってしまった。
その訓えとは「一、世の中で一番悲しいことは嘘をつくことである」!!

— 富田正文、『福澤諭吉全集』第20巻(附録)、p.10

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話は「偽作論」に至ってしまったが,
これは若い先生の「チャレンジ」を否定するものではない。
しっかりとその事情を話して,「「福澤諭吉の作品」とは言えないけれど,
「お互いのことを知るいい教材」だと思うので,やってみたいと思います。
先生方にも協力していただきました。あとで,紹介するね!」と言えば,
立派な実践であると思うのだか,いかがだろうか。

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