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2015年11月30日 (月)

4稿

仮説実験授業の授業書《世界の国ぐに》と
立体教材「GDPボックス」を使った六時間

              肥沼 孝治

はじめに
 中学一年で出会う世界地理は、中学の社会科を好きに
なってもらうという意味で、大変重要な位置を占めている。
 その点仮説実験授業には、授業書《世界の国ぐに》
というピッタリの授業プランがあり、それと伴走するかの
ように開発された立体教材の「GDPボックス」があって、
とてもたのしい授業が期待できる単元である。
(GDPボックスとは、発砲スチロールあるいはケント紙で
作られた立体教材で、 底面積がその国の人口を表し、
体積がその国のGDPを表し、高さがその国の一人当
たりのGDPを表すというスグレモノなのである。その
名称についての変遷は、後述する。 注)

 ところで、私は「肥さんの夢ブログ」というサイトを開設
している。今回の授業の様子もそれで記録してきたので、
「臨場感」を味わっていただく意味でも、利用させていた
だきたいと思う。最初は読みにくいかもしれないけれど、
ブログを通しての授業記録によろしくお付き合い下さい。

 授業は、授業書《世界の国ぐに》第一部に四時間、
「GDPボックス」作りに二時間で、合計六時間だった。
さあ、始まり始まり・・・。

「出会い」の授業! 
昨日(二〇一五年四月十三日)、今年度の初授業があった。
一年一組からで,まさにスタートにふさわしいクラスだった。
授業書《世界の国ぐに》の第一部=「いろいろな世界地図」の
[問題一~三]を行った。(ここで切るのが効果的である)
 三つの問題は、「赤道付近の国と極地方の国」「ほぼ同じ
緯度の国同士」「隣接するが緯度が違う同士」の面積の比較
である。メルカトル図法の面白さと不思議さに触れさせ、
地図には「使用する時の約束」があることを知らせるところで、
。仮説実験授業の醍醐味を味わえる問題群である。
生徒たちは、そんなこととはつゆしらず、自分の直感で予想を
立て、予想外の正解に驚きの声を上げた。
021
[問題一]でさっそく盛り上がり(一組は誰も正解者がいな
かった)、それが,[問題二]と[問題三]につながっていった。
生徒たちは「今度こそ当ててやろうと必死である。最高の
展開であった。次回の授業が,とても楽しみである。
2015年4月14日 (火)

「全部間違えたけど,楽しかった!」 
板倉聖宣さんの作られた授業書《世界の国ぐに》は、
やはりよくできている。(後述の仮説社から購入できる)
 昨日(四月十四日)は三クラスで[問題一~三]をやった
のだが,どのクラスでも表題のような感想が多かった。
普通人は三問も続けて間違えたくはないけれど、
授業書《世界の国ぐに》のようなメルカトル図法のたのしい
問題群なら、「間違えたこと(直感を優先させた故の間違い)が、
やがては科学的に考えることにより、将来の正解に
つながっていく」ということなのだろう。その点,この授業書は
社会の科学のものだが、自然科学の雰囲気を持っているのだ。
 今日(四月十四日)は、[問題四]からのスタートのクラスが三つ。
初めてのクラスが一つと仮説実験授業が山盛り一日のだった。
集中を強いられるこの授業書は疲れるけれど、もしかしたら
この授業書をやれる最後の機会(定年まであと三年である)と
なるかもしれないので、「サービス精神の塊(かたまり)」でいく。
そういう価値のある授業なのである。後半には,「GDPボックス」や
「ペーパー・GDPボックス」にも登場してもらう予定。
2015年4月15日 (水)

「今日もたのしかったです!」の感想に,疲れも半減
 新学期の緊張の中での、それもほとんど「空き時間」の
ない授業は本当に疲れる。これが仮説実験授業だから
いいものの、普通の教科書の授業だったら、なおさらだ。
なんと本日(四月十六日)は六時間出ずっぱりの授業だった。
 でも、今はまだ授業書《世界の国ぐに》をやっているので、
「今日もたのしかったです!」などと感想に書いてもらうと、
疲れも半分になるから不思議だ。
[問題四]は、「世界の面積ベスト六」を予想する問題であるが、
なぜ五とか十でなく六か国かというと、第六位のオーストラリアと
第七位のインドの間には二倍の差があり、その落差に注目した
数が「ベスト六」なのである。よく考えられた内容なのだ。
[問題五]では、世界の人口の多い国を予想した。

「人口の多い国の覚え方」で一挙に覚える
 人口の多い国の覚え方を使って,みんなでバレー
ボールの応援のように覚えたりもした。
「人口多いは,中 印 米国、インドネ、ブラジル、
パキスにナイジェ、バングラ、ロシアに、我が日本(にっぽん)、
チャチャチャ」。最後の「チャチャチャ」は、元の授業書には
入っていないのだが、調子よく言うために変えてみた。
みんな笑いながら、楽しんで覚えられた。テストにも
出題したが、もっとも正答率の高い問題の一つになった。
2015年4月16日 (木)

初めて見る「GDPボックス」に大興奮!
 授業書《世界の国ぐに》第一部も後半に入り、
[問題六]は「各国のGDP」を予想する問題であり、
[問題七]の「一人当たりのGDP」を聞く問題である。
授業書《世界の国ぐに》には、GDPのことを「それぞれの
国の経済活動の活発さをあらわす数字」と書いてある。
私は補足して、「ものを作ったり、売ったりして稼いで
いる金額」と付け加えた。また、[問題六]の答えのところで、
GDPボックス を登場させた。

020

Photo

 黒板いっぱいに世界地図を描き、中国→インド→米国,
日本→西ヨーロッパ→北ヨーロッパ→その他の地域という
順番で貼っていった。これには生徒たちも大興奮!
初めて見る 「GDPボックス 」に、視線が集まる。
一つひとつ貼っていくたびに,歓声が上がった。
「黒板は平らな教具」という常識が崩され、しかも世界の「今」が
目の前に表示されるのだから、興奮するのも無理はない。
統計上の無味な知識ではなく、具体的な立体で
先進工業国、中進国、発展途上国をイメージ(自然科学の
分子模型のような存在である)できることは、これからの
学習にとって計り知れないほど役に立つと考える。
 チャイムが鳴って片付ける際には、希望者の「お手伝い」が
続出したほどだ。授業をたのしんでいる証拠である。
やはり「GDPボックス」 の力はすごい!あらためてそう感じた。
片付けを手伝ってくれたある女子生徒が、「私、これ欲しい
なあ」と言っていた。その言葉は、やがて現実となる。
[問題七]は、「人口五〇〇〇万人以上で、一人当たりの
GDPが最大の国」を予想した。
2015年4月17日 (金)

 このあと、授業書《世界の国ぐに》は、[問題八]の
「日本との貿易関係」をやって全体を終了した。
この問題は輸出入金額の合計で貿易の多さを表して、
世界地図に表すものだ。
 生徒たちに、どんな国が日本との貿易が゜多いかを予想した。
中国と米国は多くの生徒が正解したが、それらの国以外の国を
予想するのは苦労していた。

そして、これまで配ったプリントをホッチキスでとじた後、
ここまでの「授業評価」と「感想」を書いてもらった。
 仮説実験授業では、最後にこの2つを書いてもらい
授業を終わる。(その前にテストをする人もいる)
高い授業評価とうれしい感想たち
 今週は授業がたくさんあって疲れたが、収穫の多い
一週間だった。授業書《世界の国ぐに》第一部
「いろいろな世界地図」が終わり、GDPボックスの
紹介もあって、破格の授業評価をもらうことができた。

【生徒たちの授業評価】
  〈たのしさ〉の五段階評価(5が一番よい)  五クラスの合計
5・・・一一三人
4・・・四一人
3・・・一二人
2・・・一人
1・・・なし
  〈わかりやすさ〉の五段階評価(5が一番よい)  五クラスの合計
5・・・八七人
4・・・六四人
3・・・一四人
2・・・二人
1・・・なし

【生徒たちの感想】
 「社会の勉強をして、いろいろ世界のことが
分かってうれしかったです。もっといろいろな国
の細かい所を知りたいです。社会が好きにりま
した。」(女子)
 「本当の面積は、メルカトル図法で描かれた
面積と違うことがには驚きました。」(男子)
 「一番楽しかったことは、人口の多い国を覚え
るための歌をリズムよく歌うことでした。家に帰っ
てすぐに紙に書き、覚えるために壁に貼りました。
今ではすらすら言えるほど、完ぺきに覚えまし
た。」(女子)
 「世界の国ぐにのGDPや貿易のことが、わか
りやすくてよかった。クイズ形式でたのしかった。」
(男子)
 「一番「世界の国ぐに」で印象に残ったのは、 
やっぱり「GDPボックス」でした。たのしかったし、
分かりやすかったし。GDPボックスを全部貼って
もらった時の風景を思い出して、今後の勉強に
役立てたいと思いました。今まであまり興味が
なかった世界の国ぐにのことを、もっと知りたいと
思いました。ありがとうございました。」(女子)

二時間の「ペーパー・GDPボックス」の製作
 このあと飛び石の二時間で、「ペーパー・GDP
ボックス」を作ってもらったが、その取り組みを書き
出すと.今回の紙面からはみ出てしまう量なので、
手本にした模型の写真だけ載せておくことにする。

 第一回目・・・日本、米国、中国、ロシア、ドイツの五か国。
 第二回目・・・インド、ブラジル、オーストラリア、インドネシア、ナイジェリアの五か国。

007

「世界の人口ベスト十」を書いてみる。(選んだ国には「選」)
一位・中国「選」
二位・インド「選」
三位・米国「選」
四位・インドネシア「選」
五位・ブラジル「選」
六位・パキスタン
七位・ナイジェリア「選」
八位・バングラデシュ
九位・ロシア「選」
十位・日本「選」
「ペーパー・GDPボックス」には、人口の多い国ベスト一〇から、
八か国まで入れることができた。

今後の課題
最後に、今後の課題であるが、授業の中で登場させた
「GDPボックス」はあくまで、二〇一五年現在の話である。
いつまでも国のイメージを固定的に考えすぎてしまわないように、
時代とともに「GDPボックス」は変化するということも授業したい。
(中国については五通りのものが用意されている)
 また、このように便利な教具を普及させていく努力もしなくては
ならないと思っている。退職までのあと三年を、
そのことに使いたいと思っている。

終わりに 

就職浪人の時に出会った「仮説実験授業」は、私の
教員生活を一変させたと思う。初期には自然科学が
中心だった授業書も、今では社会の科学の広い分野を
扱えるようになってきている。
 社会の科学を教える授業書の数も、かなり増えている。
代表的で使いやすいものを、いくつか紹介しておこう。

世界地理・・・《世界の国ぐに》《世界の国旗》
日本地理・・・《日本の都道府県》《沖縄》
世界歴史・・・《世界史入門》《二つの文明の出会い》
日本歴史・・・《日本歴史入門》《日本の戦争の歴史》
政治経済・・・《三権分立》《日本国憲法とその構成》
 《おかねと社会》《生類憐みの令》《禁酒法と民主主義》


 仮説社の住所・連絡先は,以下の通りである。
〒170ー0002 豊島区巣鴨1ー14ー5ー301 仮説社
電話 03ー6902ー2121
ファックス 03ー6902ー2125

注 これまで、この立体教材を「ブロックス」と呼び、生徒
たちにもそう紹介してきたが、これを開発した「楽ちん
研究会」(秋田総一郎さん、小出雅之さん、宗敦夫さん)
によると、別の教材と混同させないようにしてほしいという
ことなので、研究協力者・平野隆昭さんと相談の上、
現在では「GDPボックス」と改名している。

(肥沼孝治・・・所沢市立上山口中学校)

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