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2015年10月20日 (火)

「古田先生の思い出」その(4)

さらにその年(1991年)の12月から「共同研究会」が始まった。
(隔月で,1993年10月までの3年間続く)
会場は文京区民センターの会議室で,古田武彦氏講演会でもよく使うところ。
地下鉄の後楽園駅から徒歩10分という場所にある。

旧勢力である九州王朝を,新勢力である大和政権が,
(OLDとNEWなので,「ONライン」と呼んだ)
どの時点で逆転したかというのが中心的な課題であった。

従来,大化の改新(645年)を重視してきたが,
どうもそうではないらしい。
「評」から「郡」に行政呼称が変化するのは700年と701年だし,
九州年号も700年ぐらいまで続くし(大宝は701年からだし),
55年間歴史がずらされているらしいのだ。
(日本書紀による歴史の改竄=かいざん)

難しい論文がテキストの時は,うとうとしてしまったりするが,
(なにしろ仕事が終わってからの研究会である)
歴史研究の最先端のことをやっているという自負はあった。

古田先生はもうすでに多くの著書を書いておられたが,
ONラインの決定で勝負(いわゆる「勝負」ではないが)をつけようと
したのかもしれなかった。(そのへんはよくわからない)

そんな中,八女での講演会で,九州王朝家の子孫である
松延(まつのぶ)さんと稲員(いなかず)さんが名乗り出るなどの朗報もあった。

しかしその後,和田家文書をめぐり,市民の古代研究会が分裂する事態になった。
古田先生をあくまで中心にして多元史観で研究していこうとする人たちと,
他の研究者と同列に扱っていこうとする人たちの2つに分かれることとなったのだ。
私は両方の側に懇意にしていた人がいたので,心を切り裂かれる思いがした。
これは研究ではない,政治闘争になってしまっていると思った。
どちらも正論を主張している。敵か味方かという議論になってしまってはまずい。
当時発行していた「肥さんのー「多元的古代」通信 33号」には,
「最近の動きについての個人的見解」と題して,写真のようなことを書きとめている。

026

次回は,和田家文書(「東日流=つがる外三郡誌」等)をめぐる議論についての話をする予定です。

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古田史学」カテゴリの記事

コメント

 白村江の戦いで唐新羅連合軍に敗れた倭は九州王朝で、大和天皇家はこの戦いに参戦せずむしろ唐側だった。この敗北と九州王朝の天子が捕虜となったことを契機にこの王朝の力は衰微し、701年をもって日本を代表する王朝は、九州⇒大和となった。古田さんが中国の歴史史料を基に解読した真実の日本歴史。これを日本側の歴史史料から裏付ける活動が、さまざまな金石文や歴史文書での、王朝の新旧交代の痕跡を明らかにする活動だったと思います。肥さんが参加された共同研究会も、この意味でまさに歴史的瞬間だった。
 和田家文書をめぐる市民の古代の分裂ですが、古田史学会や多元の会につながる人々は古田さんが提唱した歴史学の論証の基本を大事にしようとする人々で、他の人々は、この方法論を無視し、従来の古代史家と同様に史料を恣意的に解釈して歴史を再構成しようとする人々だと思います。当時の双方の主張を読み返してみればわかると思います。和田家文書は、従来の古代史の通説を根底からひっくり返す中身を持っていて、それが天皇家の側ではない史料群で裏付けられていたから、古田さんの説に引きつけられた人の中でも、古田さんの方法論を理解していない人々が、和田家文書の来歴とその中身をきちんと史料批判して、これは日本古代史を一変させる資料群だとした古田さんの見解に反発したのだと思います。「もうここまではついていけない」と。古田説をめぐる賛否両論でどれが正しいかは、表面的な見解でではなく、方法論で判定するものだと考えます。

川瀬さんへ
コメントありがとうございます。

確か『九州王朝の歴史学』の中に,「偽書論」というのがあって,
その最たるものが「日本書紀」であるという話だったと思います。
「和田家文書」(「東日流外三郡誌」等)を「偽書」扱いする人たちは,
いったい「日本書紀」にはどういう判定を下すのでしょうか。
なかなか「寛政原本」が出てくれないのはやきもきしましたが,
それでも1つひとつ偽書説に反批判していく古田さんの姿勢を見て,
「真実は後世に必ず判明する,古田さんの方法論を信じて,ついて行こう」
と思ったものでした。(しかも,執拗な偽書説への反批判の中で,
人間のあり方や学問のあり方も学べました。
その後,10年以上たった2008年,ついにその時が来ました。
「寛政原本」が和田家文書の中から偶然に発見されたのです!)

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