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2015年8月21日 (金)

古賀達也さんの多元的「国分寺」論 その後(3)

またまた,古賀さんのお話を転載いたします。
肥さんの名前も,あらためて登場してきますよ。
しかも,なかなかの重要人物(キーパーソン)としてです。

15年前にパソコンを強制的に習わさせられた時は
すごくいやな思いをしましたが,
今はブログやインターネットで活用できて,すごくうれしいです。
あの時,こういう利点があると,インストラクターが言ってくれれば,
2年間を棒に振らなくてよかったのですが・・・。
(2年ほど拒否をしていたので)

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第127号 古田史学の会「洛洛メール便」 2015年08月20日

前略。 「古田史学の会」の竹村です。
洛洛メール便をお届けします。
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古賀達也の洛中洛外日記
第1029話 2015/08/19
「磁北」方位説の学問的意義

「洛中洛外日記」1027話(2015/08/16)で、武蔵国分寺の方位のぶれ(西へ7度)は
「磁北」ではないかとするYさんのご指摘を紹介しました。
その後、そのYさんから、「磁北」の角度のずれは場所や時代で変化するため、
現在の「磁北」である「西へ7度のずれ」をもって、
古代の武蔵国分寺の方位のずれの根拠とすることは不適切であったとのお詫びのメールをいただきました。
同様のご指摘を関西在住の会員Sさんからもいただきました。いずれも真摯で丁寧なメールでした。
いずれのご指摘も真っ当なもので、わたしにとっても認識を前進させるありがたいメールでしたが、
学問の方法についても関わる重要な問題を含んでいることから、
この「磁北・7度西偏」説ともいうべき仮説の学問的意義や位置づけについて説明したいと思います。
本テーマのきっかけとなった所沢市の肥沼孝治さん(古田史学の会・会員)の
「武蔵国分寺」の方位が東山道武蔵路や塔の方位とずれているという考古学的事実から、
なぜ同一寺院内で塔と金堂等の方位がふれているのか、
なぜ7度西にふれているのか、という課題が提起されました。
そして、多元史観・九州王朝説により説明できる部分と説明が困難な部分があり、
中でもなぜ7度西にふれているのかの解明がわたしの中心課題となりました。
それは「洛中洛外日記」1021話『「武蔵国分寺」の設計思想』に記した通りです。
そして「南北軸から意図的に西にふった主要伽藍の主軸の延長線上に何が見えるのか、
9月5日の現地調査で確かめたい」と、現地調査によりその理由を確かめたいと述べました。
このとき、わたしは西に7度ふれた主要伽藍の主軸の延長線上に
信仰の対象となるような、あるいは当地を代表するような
「山」やランドマークがあるのではないかと考えていました。
そんなときに、関東の会員のYさんから、「7度西偏」は
現代の東京の「磁北」のふれと同一とのご指摘をメールでいただき、驚いたのでした。
武蔵国分寺主要伽藍のふれが「磁北」で説明できるのではないか
とのYさんのご指摘(仮説)に魅力を感じたのです。
その後、この仮説の当否を検証する学問的方法について次のような問題を検討しました。

1.真北と磁北のふれは、地域や時代によって変化するので、
「武蔵国分寺」建立の時代の「磁北」のふれが「7度西偏」であったことをどのように証明できるのか。
2.「磁北」を測定する方位磁石(コンパス)の日本列島への伝来時期と
使用時期が古代まで遡ることを、どのように証明できるのか。

この二点について検討を始め、それは今も継続しています。
こうした未検証課題があったため、「もちろん、まだ結論は出せませんが、
どのような歴史の真実に遭遇できるのか、ますます楽しみな研究テーマとなってきました。」
と「洛中洛外日記」1027話末尾に記したわけです。
このように、学問研究にとって「仮説」の提起はその進化発展のために重要な意味を持ち、
たとえその「仮説」が不十分で不備があり、結果として誤りであったとしても、
学問研究にとってはそうした「仮説」の発表は意義を持ちます。
近年、勃発した「STAP報道」事件(「STAP細胞」事件ではなく、
「報道」のあり方が「事件」なのです)のように、
匿名によるバッシング、あるいは「権威」やマスコミ権力がよってたかって
研究者(弱者)を集団でバッシング(リンチ)するという、
とんでもない「バッシング社会」に日本はなってしまいました。
これは学問研究にとって大きなマイナスであり、こうした風潮にわたしは反対してきました。
(「洛中洛外日記」699話「特許出願と学術論文投稿」、
700話「学術論文の『画像』切り張りと修正」、760話「研究者、受難の時代」をご参照ください。)
したがって、YさんやSさんの懸念はよく理解できますし、もっともなご指摘でありがたいことですが、
それでも「磁北・7度西偏」説の発表は学問的に意義があり、検証すべき仮説と、わたしは考えています。
もし、「どこかの誰かが、たまたま7度西にふれた方位で武蔵国分寺を建立したのだろう」
で済ませる論者があるとすれば、それこそ学問的ではなく、
「思考停止」と言わざるを得ません。それは「学問の敗北」に他なりません。(つづく)
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第128号 古田史学の会「洛洛メール便」 2015年08月20日

前略。 「古田史学の会」の竹村です。
洛洛メール便をお届けします。
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古賀達也の洛中洛外日記
第1030話 2015/08/20
「磁北」7度西偏説の痕跡

「洛中洛外日記」1029話(2015/08/19)『「磁北」方位説の学問的意義』で述べましたように、
「武蔵国分寺」の主要伽藍の主軸が真北から西に7度ふれている理由を「磁北」とした場合、
次の検証課題がありました。

1.真北と磁北のふれは、地域や時代によって変化するので、
「武蔵国分寺」建立の時代の「磁北」のふれが「7度西偏」であったことをどのように証明できるのか。
2.「磁北」を測定する方位磁石(コンパス)の日本列島への伝来時期と
使用時期が古代まで遡ることを、どのように証明できるのか。

この二つの課題について、とりあえず1については次の方法で証明可能、
あるいは有力仮説にできると考えました。
すなわち、8世紀に建立された寺院や遺構に同様の傾向が見られれば、
それら全てを偶然の一致とすることは困難となり、
意図的に「7度西偏」させたとする仮説が有力となります。
その結果、それを当時の「磁北」の影響と見なす説は妥当性を増します。
もちろん「7度西偏」の他の有力な根拠があれば、
どちらがより妥当かという相対的論証力を比較する作業へと移ります。
しかし、他に有力な根拠がなければ、「磁北」とする仮説が最有力説となるわけです。
このような考え方から、全国の7~8世紀の遺構の方位を調査しなければならないと思っていたやさきに、
肥沼さんから、またまた驚くべき情報が寄せられたのです。
詳細は肥沼さんのブログ「肥さんの夢ブログ」を見ていただきたいのですが、
インターネット検索で古代建造物の方位を調査された結果、
「7度西偏」の主軸方位を持つものが少なからず見いだされたとのことなのです。
次の通りです。(順不同)

【「7度西偏」の寺社など】
○常陸国の国分寺・国分寺跡
○気比神宮
○太子山から斑鳩寺への道。
○斑鳩寺(揖保郡太子町)堂塔伽藍すべて。
○稗田神社(揖保郡太子町)
○中臣印達神社(たつの市揖保町中臣・粒丘)
○石上神宮(奈良県天理市布留)
○広峯神社(姫路)
○増位山随願寺(姫路)
○麻生八幡宮(姫路)
○松原八幡宮(姫路市白浜)
○法隆寺(奈良・生駒郡・斑鳩町)
○龍田神社(奈良・斑鳩町)
○島庄春日神社?あすか夢耕社(奈良・明日香村岡寺北)
○広隆寺(京都市右京区太秦)
○百済王神社・百済寺跡(枚方市中宮?)

以上のようです。
ネット検索によるものですから、学問的には現地調査・発掘調査報告書などでの確認が必要ですが、
これだけそろうと全て偶然とするのは不可能と言わざるを得ません。
また、造営年代も異なっており、どの時代に「7度西偏」を採用されたのかも
検討が必要であることは言うまでもありません。
この中で、わたしが特に注目したのが「法隆寺」です。
全焼した「若草伽藍」は南北軸から20度ほどふれており、
およそ真北を意識した寺院とは考えられませんが、
現存する法隆寺は8世紀初頭の和銅年間頃の「移築」と考えられますから、
近畿天皇家が九州王朝の寺院を移築する際、北を意識して移築したものの、
「武蔵国分寺」と同様に西へ7度ふっていることがわかります。
すなわち、8世紀において近畿天皇家は中枢寺院(法隆寺)の移築において、
「7度西偏」方位を国家意志として採用し、
同様に8世紀後半に造営された「武蔵国分寺」もその国家意志に従ったと考えられるのです。
他方、前期難波宮(九州王朝副都)や藤原京、平安京は真北方向を採用し、「7度西偏」ではありません。
これらも国家意志に基づく都や宮殿の造営ですから、
この設計思想の違いは何によってもたらされたのでしょうか。不思議です。(つづく)
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