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2015年1月25日 (日)

「延喜式内社」のグラフ

「延喜式内社 総覧」というサイトが見つかったので,それを利用して書いてみる。
以前どなたか(古賀さんか)からか,「北部九州には,式内社が極端に少ない」とお聞きし,
その時も手書きの棒グラフに描いたのだが,いつのまにか紛失してしまった。
今回以下の事情から再びその話題が使えそうなので,ブログに発表しておく。

実は,『たの授』1月号に四国大学の小野さんが神社のグラフを描いている。
特に「天満神社の名産地」のグラフは,
7世紀以前の様子を知ることでできる貴重な分布図である。
(北部九州の4県が濃密。①福岡県1499社,②熊本県1290社,③大分県859社,
④佐賀県656社,⑤埼玉県519社)

残念ながら小野さんは板倉先生と同様に九州王朝説の仮説がないので,
北部九州の4県に天満神社が多い理由を,
自らが設定した「ア.古代の都とその周辺に集中している(官幣大社と同じ分布)」ではなく,
学問の神様=菅原道真への信仰が広かったものとされていて,
もともとの天神信仰についてはご存知なかった。

※ もともとあった「天神信仰」のうえに,その後菅原道真が祭られた。

さて,それを確かめた上で私が書いておきたいのは,式内社の分布である。
7世紀以前の中心を表す「天満神社の名産地」では北部九州の4県で
全体の40%ほどを占めているのにも関らず,
8世紀以降の中心(奈良や京都)から見ての評価である「式内社の分布」が
あまりにも北部九州に「超辛口」「低評価」と思える様相を示している。

分かりやすいように,50社を●で表してみた。
関西や関東にはゴロゴロ式内社があるのに対し,
それ以前の中心であった北部九州4県には,●が2つしか点(つ)かないのだ。
「このページは作成中です。データには間違いがありますのでご注意下さい」と注意書きがあり,
細かい数字についてまで正確というわけにはいかないと思うが,
そこが「大づかみ」を得意とするグラフのいいところ。
これで古代における「評価の大転換」=「政権の移動」の傍証となると思うのだが,
いかがだろうか。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


神座数 國  
神座数 該当都道府県

  計 大 小

宮中 36 30 6 京都府             ●=50社

京中 3 3 0 京都府

畿内 658 231 427                  ●●●●●
                             ●●●●●
山城國 122 53 69 京都府              ●●●
大和國 286 128 158 奈良県            
河内國 113 23 90 大阪府              
和泉國 62 1 61 大阪府     
攝津國 75 26 49 大阪府・兵庫県

  
東海道 731 52 679                 ●●●●●
                             ●●●●●
伊賀國 25 1 24 三重県               ●●●●●
伊勢國 253 18 235 三重県            
志摩國 3 2 1 三重県                
尾張國 121 8 113 愛知県
參河國 26 0 26 愛知県
遠江國 62 2 60 静岡県
駿河國 22 1 21 静岡県
伊豆國 92 5 87 静岡県
甲斐國 20 1 19 山梨県
相摸國 13 1 12 神奈川県
武蔵國 44 2 42 東京都・神奈川県・埼玉県
安房國 6 2 4 千葉県
上總國 5 1 4 千葉県
下總國 11 1 10 千葉県・茨城県
常陸國 28 7 21 茨城県

東山道 382 42 340              ●●●●●
                          ●●
近江國 155 13 142 滋賀県  
美濃國 39 1 38 岐阜県                 
飛騨國 8 0 8 三重県
信濃國 48 7 41 長野県
上野國 12 3 9 群馬県
下野國 11 1 10 栃木県

陸奥國 100 15 85   ●●

青森県・岩手県  

出羽國 9 2 7

秋田県・山形県

北陸道 352 14 338             ●●●●●
                          ●●
若狹國 42 3 39 福井県 
越前國 126 8 118 福井県             
加賀國 42 0 42 石川県
能登國 43 1 42 石川県
越中國 34 1 33 富山県
越後國 56 1 55 新潟県
佐渡國 9 0 9 新潟県

山陰道 560 37 523              ●●●●●●
                          ●●●●●
丹波國 71 5 66 京都府・兵庫県  
丹後國 65 7 58 京都府                    
但馬國 131 18 113 兵庫県
因幡國 50 1 49 鳥取県
伯耆國 6 0 6 鳥取県
出雲國 187 2 185 島根県
石見國 34 0 34 島根県
隠岐國 16 4 12 島根県

山陽道 140 16 124  ●●●

播磨國 50 7 43 兵庫県 
美作國 11 1 10 岡山県
備前國 26 1 25 岡山県
備中國 18 1 17 岡山県
備後國 17 0 17 広島県
安藝國 3 3 0 広島県
周防國 10 0 10 山口県
長門國 5 3 2 山口県

南海道 163 29 134   ●●●

紀伊國 31 13 18 和歌山県 
淡路國 13 2 11 兵庫県
阿波國 50 3 47 徳島県
讃岐國 24 3 21 香川県
伊豫國 24 7 17 愛媛県
土佐國 21 1 20 高知県

西海道 107 38 69  ●●

筑前國 19 16 3 福岡県 
筑後國 4 2 2 福岡県
豊前國 6 3 3 福岡県・大分県
豊後國 6 1 5 大分県
肥前國 4 1 3 佐賀県・長崎県
肥後國 4 1 3 熊本県
日向國 4 0 4 宮崎県
大隈國 5 1 4 鹿児島県
薩摩國 2 0 2 鹿児島県
壱岐嶋 24 7 17 長崎県
對馬嶋 29 6 23 長崎県

合計 3132 492 2640

参考文献
「新訂増補 國史大系 交替式・弘仁式・延喜式前篇」黒板勝美・國史大系編修會、1983、吉川弘文館
「全国神社名鑑 上巻」全国神社名鑑刊行会・編纂、1977、史学センター

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古田史学」カテゴリの記事

コメント

神社は好きです。どこか出かけたときには、つい、近くに神社を捜してしまう・・

頭慢さんへ
コメントありがとうございます。

私も寺社には心惹かれるのですが,
今回は歴史的興味でのグラフです。

母集団が多数になると,その傾向・偏りが,
意味をもつことになるのを利用した
統計的処理ということになります。

私は25年ほど前から,古田武彦氏に学び,
古代史の研究をしております。
(いろいろな「顔」を持っているのです。
中学教員の顔。古代史研究者の顔。
フォークソング愛好者の顔・・・)

「古代史の道」というサイトに「延喜式神名帳国別集計」がありました。
古田史学とは関係ない方のサイトか。

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