(2011年4月号~2012年3月号・・・教員30年目)
●職員室で隣の席の理科の先生が,外の天気を見て,「ああ,この天気じゃ,
課題プリントが使えない」と嘆いていました。天気と課題プリントに関係が?
不思議に想い聞いてみると,「天気」についての課題プリントでした。快晴で
気持ちのよい日だったのですが,それだと「雲量0」「雲のスケッチなし」で
あっという間に終わってしまうのだそう。自然を相手にする教科は難しい!
●サハラとは「砂漠」という意味です。
だから,サハラ砂漠とは「砂漠・砂漠」なんです。
同様に,ナイルとは「川」という意味です。
だから,ナイル川も「川・川」なんです。
リオ・グランデ(米国とメキシコの国境の川)の意味は,
スペイン語で「大きな川」。
では,ミシシッピ(米国の中央を流れる川)はどういう意味?
実はこれもインディアンの言葉で「大きな川」。
同様に,長江(中国)やメコン(東南アジアを流れる川)も「大きな川」。
日本でも,北海道の士別がアイヌ語で「大きな川」。
また九州の筑後川が昔「大川」と呼ばれていたらしい。
ライン,ドン,ドナウ,メナム,ニジェールといえば,
どれも有名な国際河川です。
そして,どれもが現地の言葉で「川」を意味します。
人間が生きていくには,水が必要。
だから,それをもたらしてくれる川には,
きっと感謝を込めて名前をつけたのでしょうね。
●毎年新しいクラスを担任すると,私は同じ誕生日が何組いるか調べることに
しています(長岡清・板倉聖宣『社会にも法則はあるか』参照)。ひと組いる
確率は意外に高くて8割以上もあるそうですが,今年度は,ふた組(5月11日と
8月24日)いて,しかも8月24日が担任の私も含めて35人中4人!大変
驚きました。もっとも私と彼ら3人(中1)は,40歳ほど離れていますが…。
●江戸時代,いや日本史上でもっとも有名な人物の1人,徳川家康。彼は自分
の自筆名(サイン)をどう書いていたと思いますか?実は,渡辺世祐さんの
「徳川氏の姓氏に就いて」(『史学雑誌』三〇篇十一号,1919年)という研究
によると〈初期に「藤原家康」とあるが,その後はすべて「源家康」と書かれて
いる〉そうです。ということは,「徳川家康」っていう名前は,いったい何なのだろう?
『なかった~真実の歴史学』6号,ミネルヴァ書房,掲載の話題。
●『たの授』1996年6月号に「ミニ授業書《富士山の地理と数学》」という,
板倉聖宣さん・田口司朗さんの記事が載りました。それに関連する本をご紹介
します。田代博著『「富士見」の謎ーー1番遠くから富士山が見えるのはどこか?』
(祥伝社新書)です。その本によると,「記録」は少し伸びて,2001年に和歌山
県の色川富士見峠で写真撮影された322.9キロになりました(1996年の段階
では,和歌山県・大雲取山で320キロ)。田代さんは.筑波大学付属高校の社会科
の先生で,『展望の山旅』(実業之日本社)という著書もあります。
●図書館担当の先生の話。今年度購入する本をパソコンで検索中,「原子力」
と入力したら,なんと宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』がヒットし,びっくり仰天したそう。
いくら「銀」と「鉄」が書名に入っているといってねえ……。
●最近見つけたオススメ本。斉藤幸一編『目で見る元素の世界』(誠文堂新光社)。
わかりやすい文章・豊富なカラー写真で,子どもが読むのにピッタリの1冊だと思
います。「子供の科学サイエンスブック」というシリーズです。
●千葉保著『はじまりでたどる「歴史」の授業』(太郎次郎社エディタス)という本の
中に,〈「特別教室」の授業〉というのがあって,なかなかおもしろいことが
載っていたのでお知らせします。〔問題〕音楽室,理科室,家庭科室,図書室の
できた順番は,どのようなものだったと思いますか?順番に並べてみましょう。
またその理由はなんですか?答えは,1番目:家庭科室……女子の就職率アップ
のため。2番目:音楽室……日清戦争後,軍歌による士気向上をねらうため。
3番目:理科室……第一次大戦後,ドイツの科学力に驚嘆して。4番目:図書室
……第二次大戦後,アメリカの教育使節団の勧告によって。
●楽知ん研究所発行の「楽知んカレンダー」を教室に貼っています。4月に,
生徒たちの誕生日にそれぞれの氏名印を押しておくと,ときどきたのしいできごとが
起こります。先日もクラスの女の子の誕生日に「ハッピーバースデー」の大合唱が。
急にお祝いされた女の子は,うれしそうに微笑んでいました。
●合唱コンクールではよく先生が記録用にビデオを撮っています。プロにより
記念用のビデオも撮影されるのですが,事後指導に活用されることが多いのは
記録用のビデオです。その撮影のコツは?①歌い出しはクラス(または学年)
の全体を入れる。②曲の1番の後半でアップを入れる。③2番の前半で全体に戻す。
④2番の後半でアップを入れる。⑤最後は全体に戻す。ーーこのように撮影すると,
クラスで見る時よろこばれます。アップにすると口の開け方や表情がわかっていい
のです。ぜひ今度ビデオ係になったらお試し下さい。
●カナダ内陸部で「ワーキングホリデー」をしている教え子から教わったこと。
あちらでは冬になると,「零下何℃」とは表現せず,「何℃」とだけ言うそう。
毎日零度以下のカナダ内陸部ですから,これは自然な表現なのでしょうね。
●50代の私にとって工業地帯といえば京浜・中京・阪神・北九州の「四大工業地帯」
のこと。ところがその後,中京工業地帯が生産を伸ばし,20世紀末には京浜と
肩を並べるほどになりました。先日『日本国勢図会』を見ていて愕然。
21世紀に入ってからの「世界同時不況」などで京浜工業地帯の生産量が激減。
上位3位までの順番は,1位.中京,2位.阪神,3位.京浜となっていたのです。
「時代は変わったなぁ」と同僚の先生と感慨にふけりました。
●バレンタインデーが近づいてきて.教室でもそんな話題がちらほら。そんななか,
新手のチョコレート入手法が登場しました。なんと「2枚分の板チョコ(材料)を
用意するので,誰か作ってくれませんか?」というのです。「愛は要りません。
チョコがほしいのです」というこの男子の訴え。「面白そう」と乗りかけている女子も
いるのですが,果たしてうまくいくのでしょうか…。
●歴史の授業のひとコマ。黒板の横の長さを人類の歴史と見立て,左端が古代
右端を現代とすると,縄文時代はどのへんから始まったと思うか子どもたちに
予想してもらいます。半分くらいか。4分の3くらいか。それとももっと最後の方なのか?
人類の歴史を400万年とすると,縄文時代の1万年はという長さも黒板の右端の
わずか1㎝と知り,けっこう驚いてくれます。それでは弥生時代はどのくらいの長さか。
今研究が進んで,弥生時代は1000年くらいと言われていると話し,それでも黒板の
右端の1ミリくらいだと告げると,これも驚いてくれます。旧石器時代がいかに人類の
歴史の中でながかったかが思われるのでした。
●リアス式海岸という呼称は,スペインの北西部のガルシア地方で入り江が多く
見られることに由来します。スペイン語で「入り江」を意味する〈ria〉が元。
フィヨルドは,氷河による侵食作用によって形成された複雑な地形の湾・入り江のことで,
ノルウェー語です。両者は似ているけどでき方が違うのです。
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