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2011年11月 9日 (水)

神話が語る古代史の真実

昨日の社会科サークルは,
早川さんによる「緊急,歴史教科書レポート」だった。
〈参加者は,大石さん,早川さん,森田さん,私の4人〉

そのなかで,自由社と育鵬社の中学歴史の教科書の
内容を見ていった。
旧石器,縄文までの内容については
新知見も少なくなかったのだが,
弥生時代については「神話」部分も含み,
先週末古代史セミナーでたくさん学んできた私としては,
言いたいことがたくさんあって発表者の早川さんにも
ご迷惑をかけてしまった。

そこで,別れ際に約束した「神話から学べること」について
忘れないうちに書いておこうと思い,
書いてみたのが以下の文章である。
読んでいただければ幸いである。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(1) 神無月

10月は昔,神無月(かんなづき)と呼ばれた。
ところが1国だけ「神有月」の国があった。
それが出雲だ。
この伝承ほど,弥生時代(前半)の権力の中心が
どこであったかを伝えているものはないだろう。
全国の神(任命制の県知事?)を一堂に集めうる権力の話を
私は他に知らない。
2000年前の伝承は,頑固に古代史の真実を語り始める。
従来,出雲からは考古出土物が出ないと言われていたが,
ご存知の通り荒神谷遺跡などの発見で一躍有名となった。
文献と考古出土物が一致したのだ。
〈358本出土したと言われる銅剣だが,
2回実見した私には矛のように思われた。
再検討を期待したい〉

PS ナンバー1が出雲なら,ナンバー2は筑紫(天国)だ。
対馬のアマテル神社の伝承にはこんなのがあるそうだ。
「うちの神さんは,出雲に1番あとに参り,
1番はやく戻ってくる。つまり,1の家来だ」と。

(2) 国譲り

その後わが国の歴史は,ナンバー2がナンバー1に
「政権交代」を迫るように展開する。
弥生時代半ばのことだ。
それは「国譲り」という出雲神話となって古事記に伝えられている。
一見禅譲(穏やかな政権移譲)のように聞こえるが,
その実,当主である大国主の幽閉(出雲大社に祭られる),
長男の事代主の入水自殺(美保神社の神事),
建御名方の諏訪への逃亡と,かなりハードなものだった。

PS ところで,神話にはこんな「法則」がある。
「敗者がその後の政治のあり方を語る〈らさられる〉」のだ。
しかも,次の政権にとって好都合の「遺言」だ。
例えばヤマトタケルに負けたクマソタケルは,
「今後はヤマトと名乗ってくれ」と告げて死ぬ。
死人に口なし!次期権力者にとってこんな都合のいい話はない。
そして,「本当にそう言ったのか」検証のしようもないものだ。
つまるところ,それまではヤマトでなかったもの(倭=チクシ)を
今後はヤマトにしていくという宣言なのだ。

(3) 天孫降臨

祖母・アマテラスの命令により,
孫・ニニギが天国(対馬)から筑紫に派遣される。
地元の猿田彦は喜んで迎えたように記紀には書いてあるが,
現地の田島神楽は今も「猿田彦は拒否した」と伝えている。
しかし,武力でニニギは筑紫に侵略した。
つまり,対馬の勢力が筑紫の豊穣な米作地を侵略したのが,
天孫降臨の実である。(考古学的には「前末中初」=弥生時代前期末と
中期初頭で考古出土物が一変する変化という話だ。史実だったのだ)

PS なお,天孫降臨の地は日向国ではなく,筑紫国日向(ひなた)である。
「この地は韓国に向かい,笠沙の御前を真来通りて・・・」の表現もあり,
実際そこからは朝鮮半島から約200キロで,晴れていれば見える。

(4) 神武天皇

皇国史観のあつものに懲りた戦後の歴史研究は,
神武天皇は架空の存在として扱い,
神話をヤマト朝廷の役人による造作として切捨て,
せっかく明らかにできるはずの歴史の真実を
白日のもとにするチャンスを逃した。
ところが,考古学は弥生時代の大阪湾の地形を明らかにし,
神武勢力の侵攻がリアルであったことを証明した。
そして,古代史のわが国の様子を,
文献と考古出土物の対応の中で明らかにしてきたのが,
古田武彦氏の『「邪馬台国」はなかった』『失われた九州王朝』
『盗まれた神話』の「古代史三部作」であった。
しかし,学会はその努力を正しく評価することができず,
むなしく大和一元説にとどまり続けている。
大変残念なことだ。

PS 市民の古代史愛好者により,古田武彦氏の研究は
その後予想以上の展開を見せている。
つい最近ミネルヴァ書房が古代史コレクションと題し
『「邪馬台国」はなかった』以降の12冊を復刊しつつあるし,
待望の評伝『イ卑弥呼』もつい最近出版された。 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

古田武彦氏に学んだ私は,
神話をむしろ古代史の真実を解明する
チャンスだと考える。

これまで伝えられている神話だけでも,
いろいろなメッセージが込められていると思う。

「神武天皇」は架空の存在,
「神話」は造作と片付けて,
大和一元説を延命してはならないと思う。
日本の古代はそれとはまったく違う
多元的な世界だったのだから。

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