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2011年7月24日 (日)

『あざむかれた王朝交替 日本建国の謎』

斉藤忠著,学研刊,1500円+税の上記の本を
昨日入手した。

斉藤さんは,古田武彦氏から学んで古代史の著書を
何冊か書かれているフレージャーナリストだ。
埼玉県生まれで,年齢も私とほぼ同じ。(1歳年上)

「ONライン」(オールド&ニューライン=
7世紀末までと8世紀以降の断絶)を
話題として各章が構成されていて興味深い。

024_2

プロローグ・・・壮大な奈良朝への疑問
第1章・・・不可解の震源は大宝元年
第2章・・・文武朝に潜む重大な謎
第3章・・・大宝元年の王朝交替
第4章・・・易姓革命と王朝交替の謎
第5章・・・東海海中の国で起きた王朝交替
第6章・・・皇帝と天皇の位を持つ元明天皇
第7章・・・倭国皇統本宗と日本国王朝
エピローグ・・・革命の首謀者5人組

各章の題名は難しそうだが,
内容は具体的で面白い。
学校の授業ではなかなか扱えないが,
「本当の歴史」を知りたい人には
ぜひ読んでほしい本だ。
そして,斉藤さんが学んだ古田武彦氏の
著作にふれてくれればと思う。

特に『「邪馬台国」はなかった』,『失われた九州王朝』,
『盗まれた神話』の3作は「古代史三部作」と呼ばれ,
古代史を学ぶ人には必須の本と言えると思う。
(現在は増補されてミネルヴァ書房から刊行されている)

【参考資料・・・九州年号】 

● 九州年号の証言

九州王朝説を支える有力な証拠の1つが,
517~700年の183年にわたって
連綿と続いていた31個の九州年号である。
それを紹介しておこう。

継体・・・517~521年(5年間)
善記・・・522~525年(4年間)
正和・・・526~530年(5年間)
教到・・・531~535年(5年間)
僧聴・・・536~541年(5年間)
明要・・・541~551年(11年間)
貴楽・・・552~553年(2年間)
法清・・・554~557年(4年間)
兄弟・・・558年(1年間)
蔵和・・・559~563年(5年間)

師安・・・564年(1年間)
和僧・・・565~569年(5年間)
金光・・・570~575年(6年間)
賢接・・・576~580年(5年間)
鏡当・・・581~584年(4年間)
勝照・・・585~588年(4年間)
端政・・・589~593年(5年間)
告貴・・・594~600年(7年間)
願転・・・601~604年(4年間)
光元・・・605~610年(6年間)

定居・・・611~617年(7年間)
倭京・・・618~622年(5年間)
仁王・・・623~634年(12年間)
僧要・・・635~639年(5年間)
命長・・・640~646年(7年間)
常色・・・647~651年(5年間)
白雉・・・652~660年(9年間)◆
白鳳・・・661~683年(23年間)
朱雀・・・684~685年(2年間)
朱鳥・・・686~694年(9年間)◆

大化・・・695~700年(6年間)◆

日本書紀によると,年号は大化(645)から始まり,
飛び石的に白雉や朱鳥があり,
大宝(701)につながるというのだが
およそ年号というものは「すき間なく続いている」
ことに意義があるのであり,
それでこそ年代のモノサシ足りうるのだ。
その点,日本書紀に出てくる3つの年号は
そもそも「年号」としてのテイをなしていないのである。

また,当時朝鮮半島では高句麗・新羅・百済の国々が
それぞれの年号を持ち,誇っていた。
倭国が年号を持っていておかしいことはないし,
むしろその支配権を中国に認めてもらおうとした倭国が
逆に年号を持つことを遠慮していたとしたら
その方が当時の「アジアの常識」としておかしいのだ。

いくつかの年号にふれておく。
全体として「僧聴」「和僧」「金光」「仁王」「僧要」など
仏教の影響が色濃く出ている。
この年号を定めた王朝は深く仏教に帰依していた
ものと思われる。
(九州の仏教受容年代はかなり早い時期のようである)

また,白鳳が23年間と圧倒的に長い。
その前半の白村江の戦いでの敗戦を受け,
長く改元することもままならなかった王朝の
事情が表わされているのではないか。
(実際「薩夜馬」と呼ばれる九州のリーダーが
捕虜になっており,後に送還されてきている)

江戸時代,九州年号については
「邪馬台国」論争とともによく議論されたらしい。
しかし,明治時代になりこれらの年号は
私年号として葬りさられてしまった。

その九州年号を発掘し,歴史の光を当てたのが
古田武彦氏と彼を支持する市民の人たちだったのだ。
九州年号についての最新の研究が
「新古代学の扉」というサイト(古田史学の会)で
見ることができる。
興味のある方はぜひのぞいて見てほしい。

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