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2011年5月29日 (日)

田辺さんの「東日本大震災ボランティア報告」(3)

昼食のとき、茨城県から来たHさんと話をする。
彼の自宅は地震・津波の被害はほとんどなかったそうだが、
職場のゴルフ場はしばらく開かないことになり、
個人ボランティアとして、岩手県に来たという。
茨城の地元の社会福祉協議会にボランティアバスは出ないのかと尋ねたけれど、
県から指示がないと勝手に動けないと言われたとのこと。
それにかなり憤慨されていた。
また、岩手県沿岸部では、釜石市だけが個人ボランティアを受け入れていて、
岩手県社協のバスでのボランティアに参加できない日は、
3日間ほど釜石でガレキの撤去の活動をしたという。

Hさんの話を聞いても、岩手県沿岸部でも、各市町村でボランティアセンターが
立ち上がったばかりで、まだ団体を受け入れる程度にしか機能していないようだ。
5月5日の『岩手日報』(神戸新聞にも同じ記事あり)にも、
4月30日までに岩手、宮城、福島の3県で活動したボランティアは約19万人。
個人で活動した人を考慮しても、阪神淡路大震災から1ヵ月間の約60万人を大きく下回るという。
被災地の社協やボランティアセンターも被災し、仕方がないとはいえ、
対応が大きく遅れたことを示している。

盛岡のマリオスを出発する前に岩手県社協のボランティアバスで大船渡に行くという
名古屋から来た男性と話していたが、
彼は盛岡に来る前日に、宮城県亘理町でボランティアとして参加しようとしたが、
250名で打ち切りとなり、100名ほどが活動できず、
そのうち数十名はボランティアが不足している町に移動することになったが、
残りの数十名の人たちはボランティアができないということになってしまったようだ。
大型連休前半の4月29日から5月2日まで、約3万2千人のボランティアが活動したというが、
ボランティアセンターの立ち遅れは大災害の大きな課題として残ったように思える。

昼食が終わり、1時からの作業に備え、
休憩を終えようとするころから雨がポツリ、ポツリと降り始め、
雷が鳴り、大きな音を立てて、雹(ひょう)が降り始める。
さらに雨が激しく降り始め、大槌町ボランティアセンターの判断で午後の活動が中止になる。
バスの中で待機していた皆から無念の声が上がる。
Aさん宅は1階の居室や納戸・トイレ・台所・浴室の泥やガレキの除去がほぼ終わり、
あとは裏の溝に大量にたまっているガレキの除去が午後の活動として残っていた。
全部、終えて帰りたいという皆の気持ちは痛いほどわかったが、
そこは明日以降に参加してくださるボランティアに託すしかない。

14時前には、後ろ髪を引かれる思いで、大槌町のボランティアセンターを後にする。
帰りも大槌、釜石市と津波による被災地をバスの中から見ていたが、
ふと思ったことはガレキや流されつぶれた車の脇をふつうに現地の人が歩いていたり、
突然コンビニや工場の駐車場にきれいな車が並んでいるのを見ると、
壊れているのが普通の感覚で、ガレキの中を人が歩いていたり、
きれいな車が止められていたり、建物が傷つかずに建っていることに、違和感を感じるのだ。
ガレキや壊れた車や家屋に違和感を感じなくなっている自分の感覚の中に
被災地の状況の凄まじさがあらわれているのだと強く思った。

帰路、釜石の街の被災していない北の商店街では、
「自衛隊の皆さん、消防署の皆さん、警察の皆さん、ボランティアの皆さん、ありがとう」
という張り紙があちらこちらの店先に張ってあった。
一番多かったのは、「自衛隊の皆さん、ありがとう」。
阪神淡路大震災のときは全国の市民の力が結集し、
街の人々を支援したという印象が強かった。
「自衛隊」で活動する隊員のひとりひとりの方々には、感謝しつつ、
「自衛隊」という言葉に違和感を覚えてしまう自分がいる。
それだけ被害が甚大で広範囲にわたり、
市民の力だけではどうすることもできなかったのだなあと改めて思う。
私は「自衛隊」はやめて、「災害救助隊」「国際救援隊」という形にしてほしいと
心から願っている。

帰りも遠野で途中休憩。
遠野への道も遠野から盛岡への道も、空は晴れ、
さわやかな太陽の陽ざしがバスの中に差し込んでくる。
活動が最後までできなかったくやしさがまた、こみ上げてくる。
約3時間、バスに乗って、ふれあいランド岩手に到着。
ここで、メンバーの3分の2は降りていく。
降りる前に拍手が起こり、お互いの労をねぎらい、
「お疲れさま」という言葉が交わされる。

それにしても、盛岡から往復6時間、実質の活動は4時間、
しかも今日は午前だけの2時間。
活動時間よりも移動時間の方が長いというのも、今後の大きな課題かもしれない。
すでに遠野を拠点に活動しているNGOやNPOのボランティア団体もあるが、
そちらの方がずっと自然な活動ができるように思える。
この距離の遠さは内陸部(盛岡など)と沿岸部(被災地)との
温度差につながっているかもしれない。
岩手県社協のSさんや茨城から参加したHさんもおっしゃっていたが、
3日間しか停電しなかった(Sさんはそれでもつらかったと言われていた。よくわかる。)
盛岡では、今ふつうに社会生活が営まれているようにみえる。
それに対して、被災地の惨状、避難生活を送られている方々の生活と比べると
あまりにキャップが大きすぎる。
内陸部の人々が被災地の人々をどう支えていくかということも、
これからの支援のあり方として、とても大切なことのように思える。

5月の大型連休が終わり、各市町村のボランティアセンターも機能し始めると、
これから逆にボランティアのニーズはますます多くなっていく。
1日でもボランティアに参加できる方は
岩手県社会福祉協議会のHPをぜひ覗いてみてください。

http://www.iwate-shakyo.or.jp/

さて、バスは夕方5時過ぎ(予定は7時)に盛岡駅北・マリオス前に到着。
名鉄観光の添乗員さん(といっても、彼も立派なボランティア・コーディネーターだ)
にお礼を言い、メンバーの皆さんとお別れする。
マリオス20階の展望室に上がってみたが、
岩手山は雲をかぶり、昨日のように雄大な姿を見せてくれなかった。

ここまでは、盛岡から花巻空港、飛行機の中で一気に書いた。
自宅に帰ってメールを開くと「遠野まごころネット」を
後方支援している神戸の被災地NGO恊働センターからメールが来ていた。

『<5月3日>遠野まごころネットより=
今日(3日)はボランティアの一般参加136人を含む約600人です。
いつものように「遠野まごころネット」代表Sさんの手際よい見事な仕切りで、
わずか30分で約600人のボランティアを各現場に送りだしました。
本当に見事な采配です。泥かきの現場で釘を踏んだり、ケガをしたりと事故もありますが、
「誰でも参加OK!」の毎晩のミーティングで日々反省もし、
可能な限り、即翌日に活かすと言うことをしています。
この連休中にはもの凄い数のボランティアさんが支援に駆けつけて来て下さっています。
津波のあとに残されたさまざまな爪あとは、まだまだ消えることはないでしょうが、
連休返上で駆けつけられたボランティアには、被災者の方々も大変喜ばれておられました。
正直言って、連休明けに生じるボランティアの減少からくる反動が気になりますが、
一方スタッフの疲労も限界を超えています。
目の前でやらなければならないことは山ほどありますが、
一旦少しペースダウンして長期対応に備えましょうとアドバイスをさせて頂きました。
明日(5日)からは、ボランティアの数も減って行きます。
みなさん、今後ともご支援よろしくお願いします。』

このメールを読むと、遠野にすでにボランティアの拠点ができている。
遠野市民の様々な民間団体が結集し、行政(社協)も巻き込みながら、
大きな動きになろうとしている。
内陸部が沿岸部を支えていく体制ができていっていることに大きな希望を感じる。
こちらもボランティアの募集をしている。
HPを覗いてみてください。

http://tonomagokoro.net/

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田辺さん,貴重な情報を提供していただき,ありがとうございました。
私もさまざまなことを「田辺報告」から学ぶことができました。
読者のみなさんも同様のことと存知ます。

昨日の朝,テレビでこんな話をやっていました。
ボランティアに行く人が安全靴を買いにいったところ。
あるお年寄りに声をかけられた。
「あなたはボランティアに行く方ですか?
ぜひ頑張ってきて下さい。
私は残念ながら現地に行くことはできませんが,
何かお役にたちたいとは思っている。
どうかその靴の代金を払わせて下さいませんか?」
見知らぬ人同士の間でこういった交流が始まっている。
できることはいろいろあるでははないか。

欧米では,ボランティアで現地に行く費用は,
その資金を寄付してくれる人のお金でまかなわれるという。
(ボランティアは「労働」のみ提供する)
そういう風潮がようやく日本でも少し根付いてきたのかな?
などとうれしく思うエピソードだった。

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