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2010年11月 8日 (月)

歴史研究のポイント(古田氏の場合)

古田武彦さんや板倉聖宣さんの
歴史研究に学んでいると,
いくつかの原則や「極意」があるように思う。
それを抽出できれば役に立つことが
少なくないのではないかと思い,
思いつくままに書いてみる。

【古田武彦さん】

(1) 利害のあるもの・利害のないもの

『「邪馬台国」はなかった』や『失われた九州王朝』では,
徹底的に外国史料を使いこなすことによって
大きな収穫を得ることができた。
これは他国のことについて外国が書いたものなので,
利害をあまり考えなくていいからだ。
しかし,『盗まれた神話』は,古事記と日本書紀だ。
この両者は矛盾する場面が多い(利害がある)から
逆にそういう場面を比較検討することによって
真実を暴き出すことが可能となるのである。

(2) ある人物があまりにも悪く書かれる時は,
 次の代の人物の権力奪取の「いいわけ」である。

ほとんどの天皇が輝かしい功績を残した人と
祭り上げられる中で,
武烈天皇,仲哀天皇,斉明天皇の3名は,
かなりひどい書かれ方をしている。
これは,本当に彼らがそうだったというよりも,
著者がそう読者に信じさせたかったと考えた方がいい。
武烈天皇から継体天皇へは違う王朝への交代が,
仲哀や斉明の場合にも九州王朝から
大和政権に権力が移行する際の虚構の可能性が
十分考えられるからである。

(3) 歴史を書き換える際,自分に不利には書き換えない。
 逆に「自分に有利に書き換える」から歴史が復元できる。

古事記に九州王朝系の史料を肉付けしていき,
日本書紀を作ったと考えられる。
その際の原則が上記のものだ。
また,個々の事件なども
この原則を適用させることによって
解明する糸口とすることができる。

(4) 偽書の最大要件

東日流外三郡誌が偽書扱いされたことは,
つとに知られているが,
寛政原本が発見されて「濡れ衣」が晴れた。
しかし,偽書とは何かという根本的な定義からいうと,
私たちが使っている歴史教科書の
背景となっている日本書紀の方が,
偽書の要件によっぽどピタリと当てはまるのである。
偽書の最大要件は「読者を故意にだまそうとして
書かれたもの」である。

(5) 原典にあたれ,現場に足を運べ

古田氏の研究を見ていると,
活字になったものより原典を優先し,
異なる史料の矛盾点を研究して
真相を発見していることが多い。
また,新しく発掘・発見されたものがあると,
すぐに現場に足を運んで実見する。
「歴史は足にて知るべきもの」(秋田孝季)を
実践している姿にはいつも感心する。

板倉氏の分は,明日書くことにする。

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