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2009年7月14日 (火)

金石文の九州王朝~歴史学の転換

『なかった~真実の歴史学』6号の巻頭には,
上記の論文が載っている。

本来重視されるべき金石文がないがしろにされ,
日本書紀や続日本紀を上位に取り上げたために
歴史理解が狂ってしまっているのだ。

簡単に結論だけと書くと,
「小野毛人墓誌」(京都から出土)の分析から,
また,「船王後墓誌」(大阪府)の分析から,
さらに,「那須直韋提碑」(栃木県)の分析から,
九州王朝が論証できるというものである。

詳しくは読んでもらうしかないが,
私はこの論証はとても納得のいくものだった。
つまり権力のピラミッドは,
第1権力者・・・中国(7世紀末なら則天武后)
第2権力者・・・九州王朝の崇道天皇
第3権力者・・・那須直韋提
となって,近畿天皇家の登場する幕はない,
という一元史観の人たちにとっては
驚くべき内容になってしまうのである。

この論文の最後に,古田氏は書いている。
「最後に願う。1つの国家には,その国の歴史がある。
その歴史が学校という組織を通じて若い国民に伝えられる。
その歴史とは,学会内部の自由な討論と自在の論争に
委ねられていなければならない。
これを「回避」するとき,その国家は,「偽装された歴史」に
支えられた存在となろう。すなわち「偽装国家」だ。
そのような「疑惑」を回避するためには,
「フェアな論議」以外の道はありえないのではあるまいか。
ーーー未来の若い国民のために。
真の「変化」が必要なのは,わが国である」

古田氏は「多元」の最新号でも,
歴史民族博物館に対して公開討論会の
呼びかけをしている。
若い(年齢だけでなく)研究者たちの
勇気ある行動が今期待される。

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古田史学」カテゴリの記事

コメント

半年くらい前のことになりますが、ネット上の
知人である某作家に古代史についての疑問をぶ
つけられました。
彼の専門は歴史に関しては中世以降で古代につ
いては決して詳しくありません。
ただ彼は昨今の皇室典範改正問題に鑑み、
「初代天皇のY遺伝子を伝えることこそ意義がある」
と考えていることから、神武天皇には興味があ
るようです。

さて、その彼が西郷隆盛の本を書くべく九州へ
と取材に奔走する最中、「甘木」を車で通った時、
ふっと疑問がわき起こったそうです。
①神話の時代、日本の神々は九州を中心に行動
 しており、神武も九州出身だ。
②邪馬台国も畿内説と九州説があるが、金印な
 ど九州から出土している。
③しかるに現在の天皇家は神武以来、長く近畿
 に定着してきた。

これらのことから、
「神武が近畿にやってきた後、九州に残ったはず
の残存政権はいったいどうなったんだろう?」
という疑問がふつふつとわき起こり、そして
「ここ(甘木)がその地ではないのか」
と感じたそうです。
そして古代史の分野での小説家を目指す私にそれ
らの疑問をぶつけてきたのです。

私が九州王朝説について大まかに説明すると、
なんと彼は怒り出しました。
「なんで日本歴史上、こんなに重要な学説を俺が
知らないんだ!」
知るかそんなこと、と私は笑ったものの、後に
なって、彼の怒りはもっともかもしれないな、
と思いました。
歴史に興味のない人ならいざ知らず、曲がりなり
にも歴史を研究し原稿に書く仕事の人で神武をは
じめ皇統に興味を抱く人が、「普通に自ら求めて
古代史を勉強」しているのに、これまで一度も
九州王朝説に巡り会わなかったのですから。

この状況は、まったくもって奇々怪々、いびつで
おかしな状態だなぁ、と思います。

ツォータンさんへ
コメントありがとうございます。
まったくその方の怒りは
もっともなことかもしれません。
歴史教育は古代においては
「日本書紀」の主張を教えているいっても
おかしくないわけですしね。
だからこそ,研究を進める一方で,
九州王朝説を普及する努力も
しなければならないと思います。

 歴史に興味があっても九州王朝説に出会うことが少ないのは、一つはマスメディアの態度にあります。メディアが大々的に取り上げたのは、古田氏の最初の著書、「邪馬台国はなかった」だけ。これの元になった歴史論文の登場以来、しばらく賑わしました。僕もこの時に史学科の学生だったから古田さんの論争場面に立ち会って、すぐ彼の本を読み始めました。その後は学会が古田説を無視するとともに、メディアはほとんど取り上げず。朝日新聞社がしばらく著書を出すなど健闘はしましたが。やはりプロの学者で正面から論争を受けて立つ人がいないのが、メディアが取り上げない一つの理由です。メディアもまた権威に追従するものですから。権威が揺らいでいないと取り上げない。
 でも大きな書店、特にこだわりのある、紀伊国屋とかジュンク堂などに行けば、古田説に関る本はちゃんとおいてあります。駅前書店など配本会社の言いなりの書店はだめですが。要は、権威に追従しないで自分の頭で考え、様々な学説を渉猟する姿勢が大切なのではないでしょうか。書店でかならず見ているはずですから、頭から「トンデモ本」と判断して手に取ることすらしなかったのではないかな。多くの人は。もっとも古田説に関る人が出した本の中にも、根拠不明の感情的・扇情的なものもあるから、気をつけないといけませんが。やはり要は、自分の真偽を見分ける鑑定眼にあるのかもしれませんね。

川瀬さんへ
コメントありがとうございます。
> 歴史に興味があっても九州王朝説に
> 出会うことが少ないのは、
> 一つはマスメディアの態度にあります。
同じ「邪馬台国」に関する記事でも,
奈良で見つかった遺跡と北九州とでは
扱いが違う気もしますし,
公共放送であるべきNHKも
最初から「正解ありき」という感じがします。
> 要は、権威に追従しないで自分の頭で考え、
>様々な学説を渉猟する姿勢が
> 大切なのではないでしょうか。
本当にそうですね。
その言葉を肝に銘じたいと思います。

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