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2007年2月12日 (月)

私にとっての『失われた九州王朝』

律令も年号も都城ももった王朝が
1000年以上前北部九州にあった!
邪馬壱国のありかを探し終えた古田氏が
次に挑んだのはその前史と
その後の歴史であった。

『失われた九州王朝』は以下のような
構成になっている。

序章 連鎖の論理
第1章 邪馬壱国以前
第2章 「倭の五王」とはどこの王か
第3章 高句麗王碑と倭国の展開
第4章 隣国史料にみる九州王朝
第5章 九州王朝の領域と消滅

総ページ564ページの大部な文庫本は
弥生時代後半「国譲り」という名の武力侵略で
出雲から政権を奪取し,7世紀後半大和に
政権を奪われるまでの800年ほども
北部九州に君臨し,
また東アジアの歴史の中で
様々な動きを見せた九州王朝を
見事に描ききったのであった。

「戦国時代にだって全国を治めることは
出来なかった訳ですから,
1000年前にできたと思いますか?」
大和の全国統一がどうしても頭から
離れない人に対して私がよく使う説明だ。

常識的には理解できるのだが,
なぜか大和のことが気になってしまう。
実はそれには訳がある。
「古事記」と「日本書紀」という似て非なる本が
そうさせているのだ。
現行歴史教科書は,
定説として「日本書紀」の言い分を
「歴史」と認定して書かれている。
それを学んできた私たちは
「大和が中心」という思想を
植え付けられているのだ。
(悪く言えば「洗脳されている」)

「古事記」「日本書紀」には歴史のことが
書いてはあるが,純粋な歴史書ではない。
「日本は代々天皇が大和中心でやってきた国」
という宣伝をするための主張の書なのである。
(まず「古事記」が大和で作られ,
その後滅亡した九州王朝の歴史を
盗作・挿入して書かれたのが「日本書紀」だ)

明日は,その「古事記」と「日本書紀」の
比較研究をして書かれた『盗まれた神話』
について書きます。
(2/12)

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古田史学」カテゴリの記事

コメント

 考古学というとどうしても「難しそう」というイメージが先にたってしまいます。こういう風にわかりやすく書いていただくと、なんかすごく興味が持てます。続きを期待してます。

 僕にとっても「失われた九州王朝」は特別な本でした。この本によって大和中心史観でとらえられてきた「志賀島の金印」「倭の五王」「七支刀」「磐井の乱」「日出づる処の天子」「任那日本府」など、日本古代史を彩る重要な出来事が全て九州王朝に関るものであることが明らかにされました。そしてこの日本史の常識を打ち破った論考もまた、従来知られていた諸史料(金石文や中国の正史・韓諸国の国史)を史料に即して再検討してなされたことでした。日本古代史研究はこれらの一級資料(一次史料)を全て後代の編纂史料(二次史料)である日本書紀の歴史観で歪めて捉えてきた事が、ここでも白日の下に晒されたのでした。
 僕が卒論のあとの私的な勉強会で検討したのが七支刀、そして直後に話題になったのが「捏造された」という高句麗好太王碑文でした。七支刀が百済王が対等な関係にある倭王旨(し)に送ったものという、この時代の用語の使い方を検証しての論証や、好太王碑文は日本への紹介者である酒匂大尉によっては改竄されていないという、筆跡と碑文を綿密に検討しての論証は、『「邪馬台国」はなかった』で魏志全体の用語を検討しての論証と同じくとても緻密なもので、史料批判の王道を行くものでした。
 この本は出版された1973年にすぐ購入して読み、中国の諸史料(岩波文庫版)や高句麗好太王碑文の拓本(李進熙氏の「広開土王陵碑の研究」)は持っていたので、これと照らし合わせて、古田氏の論証の正しさを確信しました。そして次ぎに古田氏が日本書紀と古事記の関係をどう論証されるのか、とても楽しみな課題も提起された本でした。

小泉さんへ

コメントありがとうございます。
歴史に特にくわしくない方にも,歴史研究って面白そうと思ってもらえたらサイコーです。今後とも連載にご期待下さい。

川瀬さんへ

昨日に続き,コメントありがとうございました。
古田説に従って著書まで書かれている川瀬さんに読んでいただいていると思うと本当に冷や汗ものですが,私の拙い「古田説理解」をどうかあたたかく見守っていただければと思います。
同時代に仮説実験授業の板倉聖宣さんと多元史観の古田武彦さんにめぐり会い,親しく話をさせていただき,しかも研究の一部に関わらせていただいていること,まったく夢のごとき幸せと思っております。

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